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研究会の活動報告一覧

第8研究 転換期のデモクラシー ―「戦後民主主義」に関する歴史的・理論的研究―
研究代表者:出原 政雄(法学部)


開催日時2016年5月27日 16時40分 ~ 19時
開催場所啓明館2階 共同研究室A
テーマ鶴見俊輔のアナキズム研究序説――ハンセン病へのかかわりに着目して
発表者宮下祥子氏
研究会内容 5月度の定例研究会は、5月27日(金)16時40分~19時、啓明館二階共同研究室Aにおいて行われた。発表者は立命館大学社会学研究科博士課程に所属する宮下祥子氏である。テーマは、「鶴見俊輔のアナキズム研究序説――ハンセン病へのかかわりに着目して」であり、同氏が執筆した修士論文の一部を報告する形式で行われた。
 報告ではまず、鶴見俊輔に関する先行研究に対して、以下のような問題提起がなされた。鶴見は、エスタブリッシュメントに出自を持つ戦中派世代であり、当初はファシズムの担い手たる「民衆」に強い恐怖と侮蔑を抱いていた。にもかかわらず、後に「民衆」の知性を称揚するに至った因果関係は明らかにされていない、というものである。それに対して、同氏は、鶴見のハンセン病者へのコミットメントに着目することで、鶴見が「民衆」こそが真に思想をもつという信念を抱くようになった経緯を突き止めようとしている。
 報告の結論と今後の課題として、主に以下の3点が提示された。第一に、鶴見のハンセン病へのコミットメントは、特権を持たない「民衆」こそが真に思想をもつという、1950年代はじめに鶴見が抱き始めていた信念を強化した。第二に、ハンセン病者へのまなざしには、「閉ざされた者」に対する憧憬と、願望を投影した読み替え(フィクション)があった。「閉ざされた者」が「自らの言葉で語る」ことを触発し支援する姿勢を導いた点が注目される。第三に、今後の課題として「交流の家」建設運動とベ平連での活動のリンクや鶴見の在日朝鮮人への姿勢を見る必要性が挙げられた。
 報告に対して、参加者からは質問や意見が多数提起された。鶴見俊輔研究とどまらず、政治思想における「民衆」概念などに関する活発な議論がなされた。