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研究会の活動報告一覧

第9研究 ランドマーク商品に関する国際比較研究―インフラ・所得・ライフスタイル―
研究代表者:川満 直樹(商学部)


開催日時2016年12月18日 15時30分~17時30分
開催場所同志社大学今出川校地 扶桑館3階311教室
テーマ次世代自動車の普及とインフラ ―EV、FCVと自動運転を中心に―
発表者天野了一氏
研究会内容 12月研究会は、天野了一氏が「次世代自動車の普及とインフラ―EV、FCVと自動運転を中心に―」をテーマに研究報告を行った。以下に、天野氏の研究報告の内容を記し研究会活動概要報告とする。
 天野氏の研究報告の主な目的は、これまでの自動車の歴史を概観し、次世代自動車の機能、そしてそれを支えるインフラの整備状況、またそれに関連する政策等を検討し、将来、次世代自動車が我々の生活や価値観等に影響を与えることができるかを検討することであった。
 天野氏が次世代自動車として取り上げたのは、EV車(Electric Vehicle)とFCV車(Fuel Cell Vehicle)である。それら自動車が普及するためには、EV車とFCV車のみの開発改良も重要だが、それらを支えるインフラが特に重要となる。例えば、EV車の燃料は電気であり電気を充電するためのステーションが必要になる(もちろん自宅での充電も可能なものある)。同様に、FCV車には水素ステーションが必要となる。しかし、充電ステーションと水素ステーションともに、現状ではガソリンスタンドの数とは比べようもない程度の数しか存在しない。天野氏は、次世代自動車を取り巻く上記のような状況を充電ステーションや水素ステーションの設置数など、またそれらを使用する際のメリットやデメリットを丹念に検証した。
 今後我々の生活や価値観に、今回取り上げた次世代自動車が影響を与えるかどうか、現時点で断定し述べることはできない。しかし、次世代自動車が普及するためには、少なくとも自動車を支えるインフラ整備が必要であることが今回の報告で明らかとなった。
 研究報告終了後の質疑応答では、フロアからも質問や意見等が多数あり、次世代自動車の普及とインフラ整備の関係について活発な議論がなされた。


開催日時2016年11月13日 14時00分~17時30分
開催場所同志社大学今出川校地 扶桑館3階311教室
テーマ①「ベトナム社会のインフラ整備―交通を中心に―」
②「アメリカのインフラ整備と耐久消費財の普及
  ―アメリカ合衆国誕生の過程を中心に―」
発表者①鍛冶博之氏
②水原紹氏
研究会内容 11月研究会では、2本の研究報告が行われた。以下に、それぞれの研究報告の主な内容を述べ、研究会活動概要報告とする。
 第一報告は、鍛冶博之氏が「ベトナム社会のインフラ整備―交通を中心に―」をテーマに研究報告を行った。本報告の主な目的は、第一にランドマーク商品研究の観点から、外国(本報告ではベトナム)のインフラ整備状況と生活および社会との関係性を検討すること。第二にベトナムで日常生活と深くかかわっている陸上交通と交通インフラの整備状況について検討することである。鍛冶氏は、交通という観点からベトナム社会を分析する視点として次の四つをあげた。一つは都市部と農村部との所得格差、男女間格差の存在などの格差問題である。二つ目はドライバーの倫理観である。交通サービス(タクシーなどの運転手)のドライバーの中には、サービス業であることを意識せずに自身の利益追求を行っている者もいる。三つ目にベトナム社会(人)の特性をあげている。四つ目にベトナムでの交通公害の問題をあげた。鍛冶氏は、それら四つの視点を中心に、ベトナム社会と交通インフラの整備状況について検討を行った。
 第二報告は、水原紹氏が「アメリカのインフラ整備と耐久消費財の普及―アメリカ合衆国誕生の過程を中心に―」と題して研究報告を行った。本報告の目的は、アメリカにおける商品普及の基礎となるインフラ整備の変遷を明らかにすることである。アメリカから我々の生活に影響を与えた商品(ランドマーク商品)が多く誕生している。アメリカ社会で商品の普及を支えたインフラはどのようにして整備されてきたのか。それを明らかにするために、水原氏は、水道の整備、交通インフラの整備、電気インフラの整備、電信通信網の整備などの観点から検討を行った。
 第一報告および第二報告終了後の質疑応答では、フロアからも質問や意見等が多数あり、ランドマーク商品の普及とインフラ整備の関係について活発な議論がなされた。

開催日時2016年10月22日 14時00分~16時45分
開催場所同志社大学今出川校地 扶桑館4階413教室
テーマ共通テーマ:商品と歴史
①「観光土産の価値と歴史」 
②「土産物としてのちんすこう」
③「Making, Not Buying―ものづくり市場の生成―」
発表者①近藤祐二氏 司会:水原紹氏
②川満直樹氏
③大原悟務氏
研究会内容 10月研究会は、日本商品学会2016年度秋季大会と人文研第9研究会との共催で、「商品と歴史」を共通テーマに開催された。報告者ならびに報告テーマは上記のとおりである。
 以下に、各報告の主な内容を述べ、研究会活動概要報告とする。
第一報告は、近藤祐二氏が「観光土産の価値と歴史」と題し研究報告を行った。本報告の目的は、主に観光土産の成り立ちと土産物の変遷、観光土産メーカーが選択するマルチブランド戦略などを検討することである。現在、商品としての観光土産は、交通網の発達により日持ちする商品から生菓子へ、そして手作り品から大量生産に対応できる商品が中心であること。また、土産品の購入する場所が観光地などの売店から駅や空港などに変化してきたことを指摘した。
 第二報告は、川満直樹氏が「土産物としてのちんすこう」と題し研究報告を行った。本報告の目的は、沖縄の代表的な菓子土産である「ちんすこう」がどのように誕生したのか、その歴史的背景を明らかにすること。そして誰が「ちんすこう」を沖縄を代表する土産物にしたのか、などを明らかにすることであった。
 ちんすこうは、中国のお菓子をベースに沖縄で作られたお菓子である。ちんすこうを作ったのは新垣家であり、本報告では新垣家でちんすこうの誕生や改良等にかかわった新垣淑規、新垣淑康、新垣淑扶の3名を取り上げ、彼らがちんすこう作りにどのように関わったのかを検討した。
 第三報告は、大原悟務氏が「Making, Not Buying―ものづくり市場の生成―」をテーマに研究報告を行った。同報告の目的は、消費者の消費スタイルが今後どのように変化するのか、などについて検討することである。消費スタイルは、自分で作ったモノを自ら消費するスタイルから企業が作った商品を購入しそれを消費するスタイルへと変わってきた。現在では、企業が提供する道具やツールを利用し「自ら作り消費する」という傾向もみられる。その傾向は、現在進行形のため今後の消費者ならびに社会の動向などを注視することが重要だと思われる。
 各研究報告終了後の質疑応答では、日本商品学会会員ならびに人文研第9研究会会員から質問・意見等が多数あり、各研究報告とも活発な議論がなされた。

開催日時2016年7月10日(日) 15時00分~16時45分
開催場所同志社大学今出川校地 扶桑館5階513教室
テーマランドマーク商品研究の盲点(下)―国際比較研究における留意点を中心に―
発表者吉田裕之氏
研究会内容 7月研究会は、吉田裕之氏が「ランドマーク商品研究の盲点(下)―国際比較研究における留意点を中心に―」をテーマに研究報告を行った。以下に、吉田氏の研究報告の内容を記し研究会活動概要報告とする。
 今回の研究報告は、吉田氏が5月研究会で行った研究報告に続くものである。吉田氏は、5月研究会での研究報告でランドマーク商品研究の盲点を四つ示した。その盲点の意味するところは「ランドマーク商品研究の歴史的社会的視点の欠如」だと述べた。
 今回の研究報告の主な目的は、「生活の前提としてのランドマーク商品の存在とその不可逆性の意味を再検討する」ことである。結論を述べると、不可逆性はランドマーク商品出現の必要条件であるが十分条件であることは明らかにされていない。今後、不可逆性の意味、商品の持つ多様性、代替性の意味などを検討する意義は十分にある、などである。
 それに加え、吉田氏はランドマーク商品研究において国際比較を試みる際のポイントを次のように示した。①在来(既存)商品との関係を検討する。②関連する外来商品との関係を検討する。③各種業界団体(組織)・関連団体(組織)との関係を検討する。④市場規模拡大の手段(業務・技術・資本)提携・移入などを検討する。⑤法的制度・政策との関係を検討する、などである。ランドマーク商品研究の観点からある商品を取り上げ、国際比較を試みる場合、確かに吉田氏が示した視点はどれも重要なものである。
 研究報告終了後の質疑応答では、フロアからも質問や意見等が多数あり、商品史研究ならびにランドマーク商品研究に関し活発な議論がなされた。

開催日時2016年6月4日 13時00分~16時30分
開催場所同志社大学今出川校地 良心館3階301教室
テーマ①「静岡・浜松市における反百貨店運動とその背景―昭和7年松坂屋出店と昭和12年丸物
 系松菱開設をめぐって―」
②「戦後の兵庫県淡路地域における量販店企業家の足跡」
③「近世江戸における権力と魚問屋」
発表者①末田智樹氏(中部大学、市場史研究会)
②廣田誠氏(大阪大学)
③原田政美氏(福井県立大学、市場史研究会)
研究会内容 6月研究会は、市場史研究会第65回・2016年度春季大会と人文研第9研究会との共催で開催された。報告者ならびに報告テーマは上記のとおりである。
以下に、執筆者が出席することができた研究報告(第一報告と第二報告)の目的および結論等を述べ、研究会活動概要報告とする。
 第一報告は、末田智樹氏が「静岡・浜松市における反百貨店運動とその背景―昭和7年松坂屋出店と昭和12年丸物系松菱開設をめぐって―」と題し研究報告を行った。本研究報告の目的は、昭和初期の浜松市での反百貨店運動を中心に、呉服系百貨店の出張販売問題、呉服系百貨店の支店開設問題などを検討することである。それらについて詳細に検討した結果、以下の5点をまとめ(結論)として述べた。①反対運動の複雑で長期化(進出反対運動から対抗運動へ)、②百貨店側は表面化しないように敷地獲得と建設の実行、③(百貨店)誘致側の巧みな延引策、④反対運動側の最後の手段は県への陳情、⑤反対運動側の対抗策は平面デパート建設案などであった。
 第二報告は、廣田誠氏が「戦後の兵庫県淡路地域における量販店企業家の足跡」と題して研究報告を行った。廣田氏は、これまで昭和戦後期の商業の地域的展開を、兵庫県を中心に研究を進めてきた。本研究報告も、これまでの研究に関連するものである。本研究報告では、西岡茂の活動ならびに彼が1950年代後半に開業したスーパーマーケット「主婦の店」とそれらを取り巻く地域(特に地元商店街)などが検討された。
 各研究報告終了後の質疑応答では、市場史研究会メンバーならびに人文研第9研究会メンバーから質問・意見等が多数あり、各研究報告とも活発な議論がなされた。

開催日時2016年5月8日(日) 14時30分~17時30分
開催場所同志社大学今出川校地 扶桑館5階513教室
テーマ①ランドマーク商品としての近代技術情報の担い手 ―工学士技術者の台頭―
②ランドマーク商品研究の盲点 ―国際比較研究での留意点―
発表者①植村正治氏
②吉田裕之氏
研究会内容 5月研究会では、2本の研究報告が行われた。以下に、それぞれの研究報告の内容を記し研究会活動概要報告とする。
 第一報告は、植村正治氏が「ランドマーク商品としての近代技術情報の担い手―工学士技術者の台頭―」をテーマに研究報告を行った。明治に入り日本は、工業化を進めるために欧米の様々な分野から様々なルートを通じて近代工業技術情報の導入を図ってきた。導入ルートの一つが工学系高等教育機関である。本報告では、五つの帝国大学の工科大学もしくは工学部(具体的には東京帝国大学、京都帝国大学、九州帝国大学、東北帝国大学、北海道帝国大学)を取り上げ、①教育面:教育内容ならびに教育を誰が行っていたのかなどについて、②卒業生の進路:卒業した者たち(工学士)が、その後どのような職に就いたのか、などについて詳しく分析がなされた。
 第二報告は、吉田裕之氏が「ランドマーク商品研究の盲点―国際比較研究での留意点―」と題し研究報告を行った。吉田氏は、本研究報告でランドマーク商品研究の盲点を四つ示した。①生活全体における価値観の変容とライフスタイルの変容に関する議論の不足、②当該ランドマーク商品出現にいたる長期的系統的商品の分析の欠如、③価値観やライフスタイルの変容の同質性に対する無批判的分析、④商品に関する継続的普及のプロセス分析の欠如の四つである。吉田氏は、それら四つの盲点が意味するところは、ランドマーク商品研究の「歴史的社会的視点の欠如」と述べた。紙幅の関係上、盲点について詳しく書くことはできないが、ランドマーク商品研究を進めていく上で重要な指摘である。
 各研究報告終了後の質疑応答では、フロアからも質問や意見等が多数あり、商品史研究ならびにランドマーク商品研究に関し活発な議論がなされた。

開催日時2016年4月10日 15時~17時
開催場所同志社大学今出川校地 扶桑館5階513教室
テーマ商品史の課題と展望
発表者鍛冶博之氏
研究会内容 「商品史の課題と展望」と題し、研究報告が行われた。以下に研究報告の内容を記し研究会活動概要報告とする。
 本研究報告の目的は、商品史研究に関する先行研究を概観し、それらの課題点を明らかにし、商品史研究の方向性などを検討することである。具体的には、これまでの商品史研究の研究状況、商品史という概念の意味や商品史研究の範囲、研究の目的や意義、研究の方向性などについて検討した。
 本研究報告では、上記のように幅広い観点から報告がなされているため、ここでは報告内で取り上げた、今後の「商品史研究の方向性」について述べたいと思う。鍛冶氏は、①考察対象とすべき商品の量と幅を拡大させること、②先進国や発展途上国を含め、海外諸国を対象とする商品史研究を展開する必要があること、③地域商品へのアプローチを深めること、④現代以前(つまり戦前)の日本社会に関する商品史研究を深めること、⑤商品史やランドマーク商品という概念に関する考察を深める必要があること、⑥商品史の体系化を進めること、などの6点を商品史研究の方向性として示した。
 ①に関しては商品史の確立とその充実を目標とする場合、ランドマーク商品に関する研究はもちろんのこと、ランドマーク商品とは認定できない商品にも注目し考察することの必要性を強調した。②については諸外国に普及する商品を対象とする史的研究を蓄積することが重要だと述べた。③は地域に存在する商品、例えば土産物、特産品や地域産品などを取り上げることも商品史研究の幅を広げるために必要であると述べた。また、④については戦後の社会だけを研究対象期間とするのではなく、それ以前の社会も研究対象期間とすることにより日本社会の変化を長いスパンで検討することが可能となると述べ、⑤に関しては現時点では事例分析が数多く蓄積される一方で、概念分析に関しては十分な議論が尽くされたとは言えず、今後の商品史研究の深化には概念に関する検討も必要であると述べた。最後に、⑥については将来的に商品史研究がどのような学術分野として確立されることが望ましいのかなどを明確化するために、仮説的にでも商品史研究の体系化を図ることの重要性を強調した。
 研究報告終了後の質疑応答では、上記の点を含む研究報告に対し、フロアからも質問や意見等が多数あり、商品史研究ならびにランドマーク商品研究に関し活発な議論がなされた。