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研究会の活動報告一覧

第12研究 脱植民地化と植民地主義の現在
研究代表者:水谷 智(グローバル地域文化学部)


開催日時2017年1月9日 11時~17時30分
開催場所同志社大学烏丸キャンパス志高館SK390およびSK214
テーマ「第12班の今後の研究の方向性および活動について」/
「Lisa Yoneyama, Cold War Ruins (2016)から考える植民地責任・記憶論」
発表者米山リサ、板垣竜太、水谷智、キム・ハンナ
研究会内容第1部:「第12班の今後の研究の方向性および活動について」

 研究会の今後の方針について議論した。特に、2017年12月に開催予定のシンポジウムの内容について、トロント大学から招聘予定で現在日本に滞在中のタカシ・フジタニ、米山リサの両氏を招いて議論した。研究会の今後の方針が確認されるとともに、シンポジウムの場所、日程、形式などが決まった。

第2部:「Lisa Yoneyama, Cold War Ruins (2016)から考える植民地責任・記憶論」

 今年度9月に刊行されたCold War Ruins: Transpacific Critique of American Justice and Japanese War Crimes (Duke University Press)について、著者のLisa Yoneyama氏(トロント大学)を招いて議論した。議論に先だって、板垣竜太、水谷智、キム・ハンナ(ゲスト)の3名が分担して各章の内容を紹介した。分担は以下の通り:
 板垣:Preface、Introduction、Chapter 3
 水谷:Chapter 1、Chapter 2
 キム・ハンナ:Chapter 4、Chapter 5
 20名近くで行われた共同討議では、様々な地域を専門とする研究者から、記憶、リドレス(補償=是正)、暴力、冷戦、脱植民地化などの重要テーマについて多くの質問が出され、著者を交えた白熱した議論が展開された。


開催日時2016年8月2日 13時~17時30分
開催場所同志社大学烏丸キャンパス志高館SK203
テーマレイシズム再考
発表者李孝徳・駒込武
研究会内容
  • 李孝徳「人種主義を日本において再考すること―差異、他者性、排除の現在」

 近年、人種主義は、ヘイトスピーチの可視化と偏在化、さらにそれに対する批判の公論化と法的規制が行われることで、ようやく日本社会の内在的な問題として認知され始めたかに見える。しかし実際には、近代以降の日本におけるレイシズムの歴史性が深く共有されることのないまま流通してしまうことで、「ヘイト」概念のインフレーション状態が生じている問題がある。李は、こうした状況の下、「レイシズム」や「レイシスト」といった言葉がヘイトスピーチの発話と発話者に縮減されて使われ、何が問題にされているのかが曖昧になっている問題を指摘した。その上で、ヘイトスピーチを法的規制や一般市民に対する人権啓発といった問題に終わらないために、それをより広義の「レイシズム」のなかに位置づける要性について論じた。

  • 駒込武「書評:Satoshi Mizutani, The Meaning of White: Race, Class, and the 'Domiciled Community' in British India 1858-1930 (2011)」

 駒込は、2011年に刊行された水谷智(12班研究代表者)による英領インドの「混血」と白人性(whiteness)に関する研究書を書評し、それを通じて過去と現在のレイシズムについて再考した。特に、水谷が論じた英領インドを、駒込自身の研究対象である植民地台湾と比較し、イギリス支配下における白人性について考えることが、日本支配下の台湾における「内台共婚」に関して新たな研究領域を広げる可能性について言及した。書評後の質疑応答では、植民地的レイシズムや混血者の排除をめぐる西欧帝国と日本帝国の共通点や差異について活発な議論がなされ、比較研究の有用性と困難さが改めて明らかになった。


開催日時2016年6月18日 12時~17時30分
開催場所同志社大学烏丸キャンパス志高館SK203
テーマ植民地記憶・責任論の比較検討:台湾と南アの事例
発表者三澤真美恵・永原陽子
研究会内容
  • 三澤真美恵「台湾における2つの〈戦後〉」

 三澤は、台湾における植民地記憶・責任論について、2015年の動きに焦点を合わせ、一連の政策、市民運動、展示・記念イベント、映画、等の分析を通して植民地支配と戦中・戦後の<記憶化>(コメモレーション)とそれをめぐる論争について論じた。敗戦によって日本支配が終焉を迎えたのち、中国(国民党が主導した中華民国)による支配が新たな「植民地化」として理解されることもある台湾のポストコロニアル的状況においては、記憶・責任論は極めて複雑な軌跡を描き続けている。三澤は、この状況を<慰安婦問題>と<大戦の記憶>をめぐる動向を具体例としてとりあげて論じた。親中国の姿勢で知られる国民党とそれを支持する人々と、台湾独立の志向をもつ反国民党の人々では、日本の植民地支への抵抗や大戦の被害/加害についても立場が対立しており、それが慰安婦問題や大戦をめぐる歴史認識を極めて複雑にしている状況が示された。

  • 永原陽子「南アフリカの “Rhodes Must Fall”運動とその後」 

 永原は、南アフリカのアカデミアにおける植民地記憶・責任について、2015年3月にケープタウン大学のキャンパス内で起こったセシル・ローズ(イギリスの帝国主義者)の像の撤去を求める学生の運動――いわゆる“Rhodes Must Fall”運動――の事例から論じた。アパルトヘイトを克服し、民主化を達成して20年経った南アフリカで起こった今回の運動は、マンデラ主導下の真実和解委員会が直接扱わなかったイギリスの植民地支配を問うものだった。運動の直接的原因は大学における学生・教員の構成や教育内容が未だに白人中心であることだったが、永原によれば、こうした知的疎外に加えて、経済的格差の各差異がより大きな背景として存在し、経済的自由戦士(Economic Freedom Fighters)等は運動に乗じて政権批判を強めている。また、この運動がイギリスのオックスフォード大学などの海外にも広がりを見せたことも示された。