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研究会の活動報告一覧

第9研究 ランドマーク商品に関する国際比較研究―インフラ・所得・ライフスタイル―
研究代表者:川満 直樹(商学部)


開催日時2017年10月15日 14時30分~17時
開催場所同志社大学 今出川校地 扶桑館5階513教室
テーマ①「戦後日本におけるランドマーク商品の普及―価格・所得―(その3)」
②「商品史の国際比較研究(試論)―日本とベトナムにおけるオートバイを事例に―」
発表者①小西浩太氏
②鍛冶博之氏
研究会内容 第9研究会10月研究会では、2本の研究報告が行われた。以下に、2本の研究報告の内容を述べ、研究会活動概要報告とする。
 第一報告は、小西浩太氏が「戦後日本におけるランドマーク商品の普及―価格・所得―(その3)」と題し報告を行った。小西氏は、同報告で高度経済成長期以降の主婦の家事労働時間はほとんど変化していないことを指摘した。一般的に、電気洗濯機や電気掃除機、その他の電化製品などの登場と普及により、家庭で家事を担う者(主に女性)の家事労働時間は短くなったと言われている。しかし、小西氏は「国民生活時間調査」その他の資料を用い、家事労働時間はほとんど変わっていないと述べた。その理由は、詳細は紙幅の関係上省くが、①外部化から内部化へ、②「もの」の増大、③要求水準の上昇、④家庭内における子どもの分担減少、⑤意識改革の遅れ、などをあげた。また、ランドマーク商品の普及と所得の関係を検討するため「購買係数」という考え方を用い、それらの関係について時系列的に検討した。
 第二報告は、鍛冶博之氏が「商品史の国際比較研究(試論)―日本とベトナムにおけるオートバイを事例に―」をテーマに報告を行った。同報告の結論は、「ベトナムではオートバイはランドマーク商品と言えるが、日本ではランドマーク商品とは言えない」であった。その理由は、ベトナム社会ではオートバイは生活者の日常生活における交通の在り方を変容させ、さらに日常生活の常識化・制度化さらには永続化・不可逆化をおよぼした。日本でのオートバイは、「自転車社会」から「自動車社会」への過渡的存在として出現したのではなく、「自転車社会」の次に到来した交通社会(オートバイ社会)の一形態として出現したと考えられる、と述べた。
 鍛冶氏は、最後にランドマーク商品の国際比較研究の重要性を述べ報告を締めくくった。
 毎回の研究会同様に、第一報告および第二報告終了後の質疑応答では、フロアからも質問や意見等が多数あり活発な議論がなされた。

開催日時2017年7月9日 13時00分~17時00分
開催場所同志社大学 今出川校地 至誠館 会議室
テーマ<研究報告>サービス商品による生活様式の変容:小売商業における補完資産の役割
<講演>私の商品学研究履歴:商品とは何か、価値連関の要、品質関連を中心に
発表者①大原悟務氏
②岩下正弘氏
研究会内容 第9研究会7月研究会では、研究報告とゲスト講師による講演が行われた。以下に、研究報告と講演の主な内容を述べ、研究会活動概要報告とする。
 大原悟務氏は、「サービス商品による生活様式の変容:小売商業における補完資産の役割」をテーマに研究報告を行った。大原氏の研究報告の主な目的は、①日本においてコンビニエンスストアの業態やフォーマットは生活様式、ライフスタイルをどのように変えたのか。②セブンイレブンによるオムニチャネル(オムニ7)の頓挫は何に起因しているのか。③「補完資産」の概念により、新たな発見はあるのか、などの3点を明らかにすることである。
 以下では、補完資産について述べたいと思う。ここでいう補完資産とは、イノベーションの普及を推進する補完的な要素である。例えば、草創期のスーパーを見た場合、レジシステムは補完資産といえる。またレジシステム販売会社から見た場合、スーパーは保管資産といえる。では、コンビニからみた補完資産とは何か。大原氏は顧客である述べた。コンビニで付加された商品・サービスは、顧客が外部で利用経験済みのものが多く、顧客が培った補完資産である。本研究報告で、大原氏はそれらについて図などを用いて詳しく説明し検討を行った。
 本学名誉教授の岩下正弘氏が「私の商品学研究履歴:商品とは何か、価値連関の要、品質関連を中心に」と題し、岩下氏がこれまで取り組んできた商品学研究を中心に、これまでどのような研究を行ってきたのか。また、これからの商品学研究の方向性など、多岐にわたり講演を行った。講演のなかで、岩下氏は商品学研究の中心的な研究テーマは商品の「品質研究」だと述べ、自身のこれまでの研究を中心にその理由を説明した。講演で、もっとも印象に残っているのは「ひとつの商品を研究することにより、それを一般化するような研究が大切だと思う」という言葉であった。
 第9研究会の中心的な研究課題に、商品史研究の構築も含まれている。上記、岩下氏の言葉に、第9研究会も今後積極的に取り組んでいく必要があるであろう。


開催日時2017年6月18日 14時30分~17時30分
開催場所同志社大学 今出川校地 扶桑館5階513教室
テーマ①試論:小説などの作品とランドマーク商品研究
②日本におけるランドマーク商品の普及―価格・所得―(その2)
発表者①川満直樹氏
②小西浩太氏
研究会内容 6月研究会は、2本の研究報告が行われた。以下に、それぞれの研究報告の主な内容を述べ、研究会活動概要報告とする。
 第一報告は、川満直樹氏が「小説などの作品とランドマーク商品研究」をテーマに報告を行った。本報告の主な目的は、小説や映画などの作品に描かれている商品と社会の関係、また商品が人々の生活に与える影響などを紹介し検討することである。今回の報告では『パパラギ』や映画「コイサンマン」、映画「サバイバルファミリー」、他数点の作品を取り上げた。『パパラギ』では、ツイアビがヨーロッパ社会・ヨーロッパ人をどのように感じていたのか。またモノ、機械、ヒト(ヨーロッパ人)の行動様式をどのように考えたのか、等々の観点から検討した。映画「コイサンマン」では、ある「モノ(便利・使い勝手のよいもの・みんなが欲しいもの・希少価値の高いもの)」の登場により、共同体(社会)内の構成員の意識がどのように変わるのか、などを中心に検討した。
 第二報告は、小西浩太氏が「日本におけるランドマーク商品の普及―価格・所得―(その2)」をテーマに研究報告を行った。今回の研究報告は2017年度4月研究会で行った研究報告の続編である。
 小西氏は、前回の研究報告で「発売―普及年数」と「初任給比率」という概念を提案した。今回は「日本生活環境史」という概念を提案し、人間の本能的な生活行動を「病気、医療、公害への関心、学校教育、住宅・住施設、余暇時間への関心、文化・余暇活動、他」の観点を中心に、明治から昭和にいたるまで大きく三つから四つ程度に時期区分し、それらがどのように変化してきたのかを検討し明らかにした。
 第一報告および第二報告終了後の質疑応答では、フロアからも質問や意見等が多数あり活発な議論がなされた。


開催日時2017年5月13日 15時30分~17時00分
開催場所同志社大学 今出川校地 扶桑館5階513教室
テーマ超インフラ国家―アラブ首長国連邦(UAE)とランドマーク商品―
発表者天野了一 氏
研究会内容 5月研究会は、天野了一氏が「超インフラ国家―アラブ首長国連邦(UAE) とランドマーク商品―」をテーマに研究報告を行った。以下に、研究報告の内容を記し研究会活動概要報告とする。
 天野氏の報告は、2017年3月に自身がアラブ首長国連邦(特にアブダビとドバイが中心)で行った調査がベースとなっている。本報告の目的は、アブダビとドバイのインフラの整備状況ならびに同地で扱われている商品などについて検討することである。
 本報告は、大きく三つの観点から構成されている。一つがアラブ首長国連邦の政治体制や同国の地理的条件、人口構成などについて。二つ目が外国から人を呼び込むための装置としてのショッピングモール、テーマパークやホテルなどについて。三つ目は同地で取り扱われている商品についてである。
 天野氏は、一つ目の点について①アラブ首長国連邦内にある7つの首長国の特徴について、②人口構成について、特に若い男性が多いこと、③税金と国民の関係、などについて説明を行った。二つ目の「なぜアブダビとドバイでは奇抜な建物が多く存在するのか」という視点から報告を行った。アブダビとドバイには奇抜なショッピングモールやホテルなどが多くある。それは、外国から多くの人を呼び寄せるための役割があることなどを説明した。テーマパークについても同様である。特にドバイは「世界一」を目標にあげ、都市開発を行ってきた。その考え方も奇抜な建物が多く存在する理由の一つである。三つ目は、アブダビとドバイで消費されている商品についてである。同地で消費(購入)されている商品のほとんどが外国から輸入されたものである。天野氏は、同地ではその土地あるいはその地域に根差した商品(ランドマーク商品)は少ないと言える、と述べ、同地における商品のあり方についての特徴を指摘した。
 研究報告終了後の質疑応答では、フロアからも質問や意見等が多数あり活発な議論がなされた。


開催日時2017年4月9日 15時30分~17時00分
開催場所同志社大学 今出川校地 扶桑館4階403教室
テーマ日本におけるランドマーク商品の普及―インフラ・価格・所得―(その1)
発表者小西浩太 氏
研究会内容 4月研究会は、小西浩太氏が「日本におけるランドマーク商品の普及―インフラ・価格・所得―(その1)」をテーマに研究報告を行った。以下に、小西氏の研究報告の内容を記し研究会活動概要報告とする。
 本報告の主な目的は、ランドマーク商品の普及に価格と所得がどのように関係し、また両者の間に数字的な法則が存在するかどうかを検討することであった。小西氏は、本研究会の研究成果である6冊の研究書(石川健次郎編著『ランドマーク商品の研究』①~⑤、川満直樹編著『商品と社会』)を中心に上記の点を考察した。
 小西氏は「発売―普及年数」と「初任給比率」という概念を提案した。「発売―普及年数」とは、商品が発売されてから普及するまでの年数をあらわし、商品の普及のスピードを示すものである。また「初任給比率」とは、各時点での商品価格と所得(商品発売当時の初任給)の関係、つまり所得に対し、その商品がどのくらいの比率を占めたかを示したものである。例えば、チキンラーメンの場合、発売時点で所得の0.3%であったものが普及時点では0.1%となり、またカラーテレビの場合、発売時点で所得の40倍であったものが、普及時点では5倍に縮小した。「発売―普及年数」と「初任給比率」の関係(カラーテレビを除く)を見ると、商品発売から普及までの年数が短いほど、初任給比率が低いという関係が明らかになった。ただし、小西氏も報告で述べたように、「発売―普及年数」と「初任給比率」の関係については、今後多くの事例を収集し、さらに検討を重ねる必要があると思われる。
 研究報告終了後の質疑応答では、「発売―普及年数」と「初任給比率」について、フロアからも質問や意見等が多数あり活発な議論がなされた。