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研究会の活動報告一覧

第11研究 ラテンアメリカにおける国際労働移動の比較研究
研究代表者:松久 玲子(グローバル地域文化学部、グローバル・スタディーズ研究科)


開催日時2017年10月21日(土) 13時30分~17時30分
開催場所志高館 SK203
テーマラテンアメリカにおける国際労働移動の比較研究
発表者北条ゆかり、佐藤夏樹、宇佐見耕一(以上、輪読発表者)
研究会内容今回の研究会は、以下の2部構成にて開催された。

1.第一部:輪読会:サスキア・サッセン『グローバル空間の政治経済学』
前回に引き続き、サッセンの本の輪読が行われた。
〈報告者〉
北条ゆかり(第5章「移民とオフショア生産:第三世界女性の賃金労働への編入」)
佐藤夏樹(第6章「サービス雇用レジームと新たな不平等」、7章「インフォーマル経済:新たな発展と古い規制」)
宇佐見耕一(第8章「電子空間と権力」、第9章「国家とグローバル都市:場」)

2.第二部:書籍化についての議論
(1)本研究会活動によりまとめられた研究論文の書籍化に関する構想を議論するにあたり、今回は(株)晃洋書房の編集部担当者2名を招き、議論に参加して頂いた。
(2)現時点での仮題と論文構想について、研究会参加メンバーからそれぞれ説明があった。


開催日時2017年7月22日(土) 10時30分~16時30分
開催場所至高館 SK213、214
テーマラテンアメリカにおける国際労働移動の比較研究
発表者戸田山祐、北条ゆかり、 Marta Torres Falcón、 Carmen Fernández、浅倉寛子
研究会内容1.今回の研究会は、以下の2部構成にて開催した。
(1)第一部 10:30~13:30
輪読会:サスキア・サッセン『グローバル空間の政治経済学』第2章~第5章
〈報告者〉 第2章、第3章:戸田山祐
       第4章、第5章:北条ゆかり

(2)第二部 13:30~16:30
FGSSセンター・人文研第11研究会共催講演会『ジェンダー、移動、暴力-移民の送り出し・受け入れ・中継地であるメキシコの現状—』

講演会では、以下の3名の発表が行われた。
○“Stigma, violence and dignity: a debate on sex work in Mexico”
by Marta Torres Falcón (Universidad Autónoma Metropolitana-Azcapotzalco)
〔要旨〕Sex workは歴史上常に存在してきたが、現代社会ではさらに拡大し、利益を出すビジネスとなっている。sex workとは何か、法制化が必要なのか、女性を保護するために誰を罰するべきなのか、どんな保護が必要なのかという議論はつきない。その仕事は“見えない”からこそ自然化されてしまっているが、女性のみがそのような立場におかれている事実をどう理解するかは、ピューリタニズム、ラディカル・フェミニズム、リベラル・フェミニズムの立場によって違う。メキシコでは、売春を自由売春と強制された売春とに分けており、強制された売春は違法であるが、売春はそもそも他の職業とは違い、常に不平等で暴力的であるから、廃絶されるべき問題である。

○“Intraregional and a north-bound Central American migrants at the Southern Mexican border: An increasing context of violence and the role of agency”
by Carmen Fernández (Centro de Investigaciones y Estudios Superiores en Antropología Social-Sureste)
〔要旨〕メキシコ-グアテマラ国境を越えた移動については、ただ単に経済的な問題ということだけでなく、安全保障上の問題になってきていることから、その観点からの政策が形成されつつある、また、越境行為は様々な暴力と困難を伴うことから、結果的に国境付近での長期的な滞在につながっている。国境を超える活動はますます自明のものとなりつつあり、越境という行為自体が、構造の変化を示唆している。

○「残酷な暴力―中米移動女性に対する継続的性暴力」
by 浅倉寛子 (Centro de Investigaciones y Estudios Superiores en Antropología Social-Noreste)
〔要旨〕メキシコでは、女性であることを理由に女性を殺害する(femicide)が増えている。その原因の1つとして、グローバリゼーションによる経済的再構築により、下位に位置付けられた男性の不満が女性への暴力へつながった事が挙げられる。その手口の残酷性が高まっていることから、これを個人間の関係からくる犯罪と解釈するのは誤りである。3人の女性への聞き取り内容をフェミニストの枠組みを融合させて分析すると、男性の女性に対する暴力は、女性が男性の領域へ侵入したことへの警告だけでなく、男性性の肯定化をメッセージとして使えるカンバスとして利用していることが見えてきた。性暴力を理解するには、構造的条件と各主体の個別の条件という両面から考察する必要性がある。

開催日時2017年6月18日 15時30分~19時20分
開催場所志高館 SK地下6 およびSK104
テーマアメリカ農業を支える移民労働者
発表者田中敬子氏(ケンタッキー大学)
研究会内容本回の研究会は、2部形式で行われた。
第一部  15:30~17:30(SK地下6) 
「サスキア・サッセン 『グローバル空間の政治経済学』序章と第1章の輪読し、移民研究の理論枠組みに関する討論を行った。

第二部 17:30~19:20(SK104)
アメリカ研究所第6部門研究会との合同研究会で、田中敬子氏の講演会を開催した。田中敬子氏は、はじめに米墨国境の壁に代表されるトランプ政権の移民政策を紹介した上で、在米外国人の人数やカテゴリー、出身国の内訳などの現状を分析した。特に、不法移民(illegal immigrants)と表象されることの多い人々について、移民法における「移民」の定義とはずれが生じるので、未登録外国人(undocumented foreigners)と呼ぶべきであると主張した。また、未登録外国人の入国数が2009年以降減少していること、平均滞在年数が長期化していることも併せて紹介した。
 次に、現在のアメリカ農業が未登録外国人の労働力に依存している状況を、労働者数、雇用年数などの側面から分析したうえで、未登録外国人労働者に関する研究の不足、さらには、彼らを農場に斡旋している中間請負業者の研究の必要性を指摘した。同時に、未登録外国人労働者の立場の弱さ(組合不加入の問題、移民局への恐怖など)を解決すべき問題として提示した。
 最後に、トランプ政権の移民政策が進行していく中で、未登録外国人が帰国せざるを得なくなることの影響として、農業の機械化が加速する一方、習得した技術を生かすために帰国する労働者が増えるのではないか、というフィリップ・マーティン教授の見解を紹介した。
 フロアとの討論では、農業労働とそれ以外の職業(サービス業)などでは、滞在年数に違いが出るのではないか、収穫期以外の時期にどのような仕事が行われているのかという質問に対し、報告者は収穫の仕事を求めて各地を転々と移動する労働者や、数年農業労働を行った後、別の職業へ移行する労働者の状況を紹介した。また、メキシコで実際にかつてアメリカで働いた人々と接した経験から、農業技術の移転などあり得るのかという疑問も呈されたが、労働者の監督技術などは活かされることもあると述べた。


開催日時2017年5月13日(土) 13時30分~17時30分
開催場所志高館 SK203
テーマラテンアメリカにおける国際労働移動の比較研究
発表者Martha Irene Andrade Parra(同志社大学大学院GS研究科院生)
佐藤夏樹(同志社大学GR学部講師)
戸田山佑(東京大学講師)
柴田修子(同志社大学GR学部講師)
渡辺暁(山梨大学教授)
研究会内容以下の5名の発表が行われた。
(1)Martha Irene Andrade Parra 「Ambivalent Discourses; Identity Construction and Locality Production among Nikkei Peruvian Immigrants in Japan」
本研究は、関西圏に在住するペルー人及び日系ペルー人のコミュニティにおけるassociationの役割に焦点を当て、その集まりが民族アイデンティティの維持とローカル性の創出にどのように貢献しているかを参与観察とインタビューを通じて調査した(2016年にGSに提出した修論を基にした発表)。ペルー人及び日系ペルー人の集まりは、彼らが日本社会へ統合するための支援・情報提供を行う役割を果たしているが、同時にペルー人としての民族アイデンティティを基にした所属意識も作り出していることを明らかにした。

(2)佐藤夏樹「エルサルバドル問題とエルサルバドル人民連帯組織」 
今回の発表は、エルサルバドルからの難民を受け入れるアメリカ社会の中で、どのような人々が彼らの支援に乗り出し、それに対しヒスパニック/ラティーノ・コミュニティがどのように反応したのかを、エルサルバドル支援を行う最大の組織の1つであるCISPESの史料をもとに考察した研究に基づくもの。今回の発表では、移民支援に関する先行研究の紹介とCISPESという組織の概要に関する説明があった。

(3)戸田山祐「地域レヴェルでのメキシコ系労働者政策-カリフォルニアとテキサスの事例を中心に」
本件発表は、研究会予算を使用してアメリカで行った調査(2017年3月6日~20日)を基に行われたもの。1940年代末から60年代半ばまでのアメリカ、特にテキサスとカリフォルニアにおけるメキシコ系労働者に対する施策について、同時期のメキシコ人短期移民労働者導入政策(ブラセロ・プログラム)との関連に焦点を当てて考察する研究である。今回の発表では、テキサスとカリフォルニアの州公文書館で行われた資料収集で明らかになったことに関する説明の後、今後は、1950年代のテキサス州・メキシコ州の政策資料から州政府の政策、あるいは下部の委員会の活動について論文をまとめる可能性につき言及があった。

(4)柴田修子「コロンビア出張報告」
本件発表は、研究会予算を使用してコロンビアの各地(ボゴタ、カリ、トゥマコ、アルタケル&マグイ)で行われた調査(2017年2月20日~3月15日)に基づき行われた。コロンビアでの調査では、出稼ぎに行ったことがある人、あるいは内戦の被害にあったことがある人に対するインタビューが行われた。今回は、撮影された写真に沿って調査調査報告がなされ、調査により関心が持たれたテーマ(例えばコロンビアからチリへの国際労働移動等)について言及があった。

(5)渡辺暁「メキシコからアメリカ合衆国へのさまざまな移民のかたち-2016年12月のユカタン調査および2017年3月のLA調査のご報告-」
 本件発表は、研究会予算を使用した行われた調査(2016年12月22~29日(ユカタン州)、2017年3月9~15日(カリフォルニア州))を基に行われた。現地調査では、メキシコ(ユカタン半島)からLAに来ている移民に対し、入国の経緯、現在の職業など、移民事情について聞き取り調査を行ったことが報告され、また、今後の研究の方向性について言及があった。