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研究会の活動報告一覧

第15研究 京都のくらしと「まち」の総合研究
研究代表者:西村 卓(経済学部)


開催日時2017年10月29日 14時~17時45分
開催場所同志社大学今出川キャンパス 啓明館2F 共同研究室A
テーマ近現代京都における山鉾町の住民構成の変化と祭礼運営
伝統産業の現代的変容――若手西陣織職人らによる近年の取り組みから
発表者1.佐藤 弘隆
2.金 善美
研究会内容 報告者は、ゲスト講師(立命館大学文学研究科文化情報学専修博士後期課程)の佐藤弘隆氏と、本研究会研究員の金善美氏であった。(参加者10名)
 第1報告者の佐藤氏からは、「近現代京都における山鉾町の住民構成の変化と祭礼運営」と題して、地域の持続的な運営による祇園祭の維持・継承システムについての報告が行われた。報告では、祭礼運営と地域社会構造の関わりについて、江戸後期以降の船鉾町の住民構成の変遷を主な例に、人員の確保(社会的側面)・資金の確保(経済的側面)・場所の確保(場所的側面)の3つの運営基盤それぞれにおける「合同」と「排除」の論理による担い手の違いとその変容=再構築過程が示された。この点について参加者との間で議論が行われ、町の論理と祭礼の論理が合理的に入れ子状になっているという結論が導かれた。また、報告の前提として祇園祭との比較で示された秩父夜祭の屋台を出す町々の範囲が、祇園祭の山鉾を出す町々の範囲よりもかなり広く、世帯数も多いことに関して、農村部をも含む秩父屋台町と農村部は含まない山鉾町の対比が都市―農村関係の視点から議論された。
 次に、第2報告者の金氏からは、「伝統産業の現代的変容――若手西陣織職人らによる近年の取り組みから」と題して、伝統産業の衰退とそれを支えてきた地域社会の変容の中で、新たに若手従事者によって取り組まれている継承事例についての報告が行われた。報告では、産業内の最弱者である下請けや見習いとして働く若年で高学歴の移住者が中心に取り上げられ、企業家型・技術伝承型・クリエーター型と類型化されたうえで、それぞれが「帯」以外の生産品や新たな流通ルートを持つことが特徴として示された。報告者は、その取り組みが地域とはつながらないものとなっており、その背景として旧来からの産業内秩序の矛盾による分断が指摘された、参加者からは、西陣織ブランドの低下が危惧され、聞き取りのケース数をさらに増やすことや特に旧来からの産業内部への聞き取り調査の必要性が指摘された。


開催日時2017年7月1日 14時~17時30分
開催場所啓明館共同研究室A
テーマ「都心回帰」時代における伝統都市「まつり」の維持・継承
大都市圏居住者のパーソナル・ネットワーク
発表者1.得能 司
2.吉田 愛梨
研究会内容 代表からの新年度の挨拶と参加者の自己紹介・欠席メンバーの紹介がなされたのち、報告へと移った。(参加者10名)
 報告者は、本研究会事務補助の得能司氏と、同研究員の吉田愛梨氏であった。
 第1報告者の得能氏からは、「『都心回帰』時代における伝統都市『まつり』の維持・継承――京都・祇園祭・山鉾町・菊水鉾町の実践を事例に」と題して、「マンション建設に伴い新住民が急増した菊水鉾町における祇園祭の維持・継承」に関して書かれた昨年度の卒業論文についての報告が行われた。報告では、菊水鉾町において、マンション住民も祇園祭に参加できるようにと、新たに賛助会員制度が設けられるなど、新旧住民のフォーマルな関係づくりが行われたのち、賛助会員でなくても参加できる祭事への勧誘など、インフォーマルな関係づくりも進められてきたことが紹介された。報告者は、地縁組織である町内会と祭縁組織である保存会の連関を、双方の運営基盤である構成員からのみとらえていたが、参加者からは、財政基盤からの視点の抜け落ちが指摘された。
 第2報告者の吉田氏からは、「大都市圏居住者のパーソナル・ネットワーク―大阪市中央区・豊中市千里ニュータウン・ 京都市東山区六原学区での質問紙調査結果より―」と題して、「現代日本の大都市圏における中年期・高齢期女性の社会関係」に関して書かれた修士論文についての報告が行われた。報告では、従来から焦点が当てられてきた親族・近隣・職場・友人の4つの社会関係に加えて、市場や行政といった視点を取り入れ、都市度の異なる大都市都心と郊外、農村との地域間比較のデータが示された。そして、地域・年齢を問わず、一番身近な親族(特に他出子)が大きな意味を持つとともに、都市では友人との関係も重要なことが示され、未婚率の上昇によりその傾向が強まることが示唆された。報告者は、大都市都心では利用可能な資源の充実度から市場を重視する傾向があると仮説を立てていたが棄却され、都市度だけでなく社会階層の影響可能性が示唆された。参加者からも、社会階層による違いが指摘されたとともに、他出子の人数の違いなどのサンプリングの限界も示された。