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第6研究 体制形成期北朝鮮の文化史の学際的研究 研究代表者:板垣 竜太(社会学部)

本研究は、1945年から1960年代末(「体制形成期」と呼ぶ)における北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の文化の諸領域を学際的に研究することで、従来の国家中心的なアプローチを克服し、社会を生きた人々のリアリティを描きだすことを目的とする。研究に際しては、個人とその実践、社会の流動性に着目するとともに、文化の諸領域がそれぞれ独自性を持ちながらも収斂していく様相を明らかにするという新たな視点を一貫して導入する。そのために学際的な北朝鮮文化史研究体制を構築し、海外に散在する豊富な北朝鮮資料を共同で調査するとともに、インタビュー調査も併用する。研究会を通じて文化諸領域間の総合をはかったうえで、その成果を学術論文、論文集、公開シンポジウムで内外に日本語・英語・コリア語により発信する。そのことで、社会一般の北朝鮮の内在的理解に資するとともに、新たな北朝鮮文化史研究の潮流を国内外の学界につくり出す。

2021年度

開催日時 第4回研究会・2022年3月27日 14時00分~17時50分
開催場所 寒梅館ハーディーホール、ギャラリー および ウェビナー
テーマ 【展示&イベント】在日朝鮮人美術史に見る美術教育者たちの足跡
発表者 白凛、鳥羽耕史、町村悠香、池上善彦、鄭光均、板垣竜太
研究会内容 【展示&イベント】在日朝鮮人美術史に見る美術教育者たちの足跡
 1950年代から60年代にかけて朝鮮学校で美術教員として教壇に立った青山武美さん(1908-1980)を中心に、その教え子であり美術教員であった鄭光均さん(1945- )、河相喆さん(1937- )に注目し、展示とイベント(学術シンポジウムおよびオカリナ演奏)をおこなった。
 展示(3月18~21日、25~27日)では、青山武美さんの作品5点、当時の学生の作品約40点、文集数冊をギャラリーで展示した。展示を通じてさらなる情報提供もあり、展示自体が重要な調査研究の場ともなった。
 イベントは次のとおり、2部構成で実施した。
シンポジウム:白凛、鳥羽耕史、町村悠香、池上善彦
トーク&オカリナ演奏(鄭光均)
閉会あいさつ:板垣竜太
 展示とイベントの様子は『京都新聞』3月28日朝刊、『朝鮮新報』4月2日オンライン版でも報じられた。
開催日時 第3回研究会・2022年3月22日 17時00分~19時00分
開催場所 オンライン研究会として開催
テーマ 主体の誕生:1950~1960年の北朝鮮における政治と文化
発表者 全永善(建国大学統一人文学研究団HK研究教授)
研究会内容 人文科学研究所部門研究会(第6研究)2021年度第3回研究会
兼 科研費「冷戦期北朝鮮の文化史:人・情報の流動性に注目して」(20H01330)研究会
 Zoomミーティング(ビデオ会議)とMicrosoft Teams(資料共有)を併用して実施した。内容は次のとおり。

報告者:全永善
題目: 主体の誕生:1950~1960年の北朝鮮における政治と文化

 1945~1950年代そして1960年代というように時代区分をし、その区分の中で北朝鮮がどのように政治と文化を規定していったのかについて報告がなされた。本報告によると、北朝鮮では1945~50年代に文化政策の基本方向が設定され、文化芸術のための基本インフラが整備された。1960年代になると唯一思想体系が確立し、それにともない「主体リアリズム」が立ち上がっていくという。本報告では、1960年代に設定された「主体リアリズム」の枠組み、すなわち、(1)領袖、(2)領袖と人民の関係、(3)領袖の指導で変化を起こす人物という3要素を重要視する創作が現在まで続いていると説明し、例として朝鮮半島で有名な説話「春香伝」もこの「主体リアリズム」によって改作されていったことを挙げた。
 報告の後、出席者による活発な質疑応答(北朝鮮における「一般」と「主体」の位置づけ、主体思想創始の時期、甲山派に関すること、「春香伝」の位置づけ)などがなされた。
開催日時 第2回研究会・2022年2月23日 17時00分~19時00分
開催場所 Zoomミーティング(ビデオ会議)
テーマ 北朝鮮音楽の論争と樹立
発表者 千賢植(国立南道国楽院学芸研究士)
研究会内容 人文科学研究所部門研究会(第6研究)2021年度第2回研究会
兼 科研費「冷戦期北朝鮮の文化史:人・情報の流動性に注目して」(20H01330)研究会

 Zoomミーティング(ビデオ会議)とMicrosoft Teams(資料共有)を併用して実施した。内容は次のとおり。

報告者:千賢植
題目:北朝鮮音楽の論争と樹立

 本報告では、北朝鮮音楽を(1)北朝鮮音楽の普遍性、(2)北朝鮮音楽史、(3)北朝鮮の音楽美学、(4)北朝鮮音楽の特徴、という4点から説明した。報告者は、北朝鮮では人民が一つにまとまることを重要視し、その核心を「疎通」とし、さらに「疎通」のための重要な手段として「音楽」があることを指摘した。したがって、北朝鮮では、公的な集団感性を作り上げる音楽活動となるという。このような音楽活動によって北朝鮮式の社会統合(人民の強固な団結)を志向しているのである。
 報告者はさらに、北朝鮮音楽史におけるポイントを「団結の歌を作っていく過程」「共通の感情を作り上げ一致させること」と指摘し、また、北朝鮮音楽は内容中心(歌詞、あらすじ)であり、その原則を通俗性(民族性+現代性)であると規定した。
 報告では、その後1945~1950年の「民主建設」期、1950~1960年の「戦争と戦後復興および社会主義基礎建設」期、1961~1961年の「社会主義建設」期に分けて音楽史の流れを説明した。また、北朝鮮の音楽美学を、形式と内容という概念から説明した。
 報告終了後、活発な質疑応答がなされた。
開催日時 第1回研究会・2022年1月25日 17時00分~19時00分
開催場所 オンライン研究会として開催
テーマ コリア文献データベース(KBDB)について
発表者 板垣竜太
研究会内容 人文科学研究所部門研究会(第6研究)2021年度第1回研究会
兼 科研費「冷戦期北朝鮮の文化史:人・情報の流動性に注目して」(20H01330)研究会

 本部門研究と科研費プロジェクトでは、多大な労力と時間を費やして、2021年度にデータベースを構築し、公開した。「コリア文献データベース」(Korea Bibliographic Database;略称KBDB)である。KBDBは、北朝鮮-朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)で1945年から1970年ごろのあいだに発行された新聞・雑誌・図書を中心にアーカイブしたデータベースである。
 KBDBは、メタデータ(書誌情報)と原文PDFからなる。メタデータも冊子レベルのデータと記事レベルのデータがある。検索は、フリーワード検索とカテゴリー検索の2種類を用意した。メタデータの構造は、他のデータベースとの連携可能性も考えて、DC-NDLのデータ記述法を用いた。
 拡張の容易な仕組みとしているため、今後もスキャン・データや目録を更新していく。

2020年度

開催日時 第6回研究会・2021年1月14日 17時00分~20時00分
開催場所 オンライン研究会として開催
テーマ 戦後北朝鮮映画産業の復旧と映画<白頭山が見える>
発表者 韓相言(韓相言映画研究所・代表)
研究会内容 人文科学研究所部門研究会(第6研究)2020年度第6回研究会
兼 科研費「冷戦期北朝鮮の文化史:人・情報の流動性に注目して」(20H01330)研究会
 Zoomミーティング(ビデオ会議)とMicrosoft Teams(資料共有)を併用して実施した。
 北朝鮮の映画産業の形成過程を、具体的な映画人や作品に即して概観したうえで、映画「白頭山が見える」について論じた。同映画の原作は韓雪野の小説『歴史』であり、金日成が登場人物として描かれた最初の映画作品である。脚本は尹斗憲が書き、その段階で原作から相当の脚色がなされ、金日成よりも子役の方に主人公としての比重が置かれた。ソ連留学組のキム・ラクソプ(김락섭)の演出により、1956年末に制作され1957年に上映された。しかし、その後の政治的な葛藤により、作品としては封印されてしまい、北朝鮮映画史からは消去されただけでなく、現在映像自体を観ることができない。研究会では、この作品をあらためて北朝鮮の文学史と映画史の双方から位置づけながら、活発な意見交換がなされた。
開催日時 第5回研究会・2020年11月28日 20時00分~22時30分
開催場所 オンライン研究会として開催
テーマ 文化史研究の視点から「愛の不時着」を語る
発表者 水野直樹、谷川竜一、森類臣
研究会内容 人文科学研究所部門研究会(第6研究)2020年度第5回研究会
兼 科研費「冷戦期北朝鮮の文化史:人・情報の流動性に注目して」(20H01330)研究会

 Zoomミーティング(ビデオ会議)とMicrosoft Teams(資料共有)を併用して実施した。内容は次のとおり。

(1)撮影場所になったホテルの建築について(谷川竜一)
(2)ドラマの挿入歌について(森類臣)
(3)北朝鮮農村の空間構成と施設・住居について(水野直樹)

 今年話題になった「愛の不時着」は、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の日常生活を背景にしたドラマとして、大いに興味を呼び起こすものだった。さまざまな観点から読み解くことのできる作品だが、本研究会では、これを建築、歌謡、農村社会という3つの観点から文化史的に検討した。
 報告(1)は、ドラマで用いられた建築が「北朝鮮的」なものとして視聴者に受容される際に、どのような建築様式が選好されたのかという点を分析するものであり、討論ではそのデザインが設計された当時の時代背景などと合わせて参加者同士で考察を深めることができた。
 報告(2)は、ドラマの中で北朝鮮歌謡界のアイコンであった往年の歌手や1990年代の有名歌謡、また北朝鮮で社会的に定着している律動体操とそのBGMなどをドラマの要所に配置していることが分かった。
 報告(3)では、ドラマの舞台になっている北朝鮮農村の実際の景観がどのように形成されてきたかを検討し、さらに2020年の台風被害後の復旧によって農村の空間構成がどのように変化したかを垣間見た。
開催日時 第4回研究会・2020年11月19日 17時00分~19時30分
開催場所 オンライン研究会として開催
テーマ 書評・パク ヨンジャ『北韓の女性:誕生と屈折の70年史』
発表者 金汝卿
研究会内容 人文科学研究所部門研究会(第6研究)2020年度第4回研究会
兼 科研費「冷戦期北朝鮮の文化史:人・情報の流動性に注目して」(20H01330)研究会

 Zoomミーティング(ビデオ会議)とMicrosoft Teams(資料共有)を併用して実施した。内容は次のとおり。

報告者:金汝卿
題目:書評・パク ヨンジャ『北韓の女性:誕生と屈折の70年史』

 本報告は2017年に出た研究書の書評である。パク・ヨンジャ氏のこの著書は、はじめての北朝鮮女性の通史であり、断片的な語りに偏るのではなく、マクロとミクロの両方を見ながら全体像をまとめあげたところに意義がある。特に、「革新的女性労働者」と「革命的母親」という二重の役割構造を明らかにするとともに、それが結果的に危機のなかで女性が生き抜く力に結びついたという議論が興味深い。韓国社会を基準にして北朝鮮女性を評価する部分があったり、近い時代になるほど既存の研究の枠組を踏襲していたりなど、気になる点はあるが、重要な総合として評価したい。
開催日時 第3回研究会・2020年7月10日 18時00分~20時00分
開催場所 オンライン研究会として開催
テーマ 中国東北地方抗日武装闘争戦跡地踏査団について
――1959年踏査団を中心に――
発表者 水野直樹
研究会内容 人文科学研究所部門研究会(第6研究)2020年度第3回研究会
兼 科研費「冷戦期北朝鮮の文化史:人・情報の流動性に注目して」(20H01330)研究会

 Zoomミーティング(ビデオ会議)とMicrosoft Teams(資料共有)を併用して実施した。内容は次のとおり。

報告者:水野直樹
題目:中国東北地方抗日武装闘争戦跡地踏査団について――1959年踏査団を中心に――
北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)では、中国東北地方の抗日武装闘争の歴史を明らかにすることが極めて重要視されてきたが、本報告では、そのなかでも中国東北地方抗日武装闘争戦跡地踏査団(以下「踏査団」)の活動を明らかにする。最近出た『歴史科学』論文によれば、踏査団は、第1次(1946年)、第2次(1947年)、第3次(1950年)、第4・5次(1953年)、第6次(1959年)にわたって派遣され、資料・遺物・証言を収集したり、写真を撮ったり、絵画を描いたりした。本報告では特に『抗日武装闘争戦跡地をたずねて』(1960)などの資料により、この第6次踏査団の実態を明らかにした。
開催日時 第2回研究会・2020年6月10日 17時00分~19時00分
開催場所 オンライン研究会として開催
テーマ 労働現場における美術:1958-1959年の『朝鮮美術』の記事を中心に
発表者 喜多恵美子
研究会内容 人文科学研究所部門研究会(第6研究)2020年度第2回研究会
兼 科研費「冷戦期北朝鮮の文化史:人・情報の流動性に注目して」(20H01330)研究会

 Zoomミーティング(ビデオ会議)とMicrosoft Teams(資料共有)を併用して実施した。内容は次のとおり。

報告者:喜多恵美子
題目: 労働現場における美術:1958-1959年の『朝鮮美術』の記事を中心に

1956年12月の朝鮮労働党全員会議で提唱され、5年計画とともに広まった「千里馬運動」の下で、美術にも新たな変化が訪れた。この時期の『朝鮮美術』には、当時の変化を示す数多くの記事が見られる。美術家たちが工場などの労働現場へと派遣されるようになっていっただけではなく、各地の労働現場で美術サークルが組織されてもいった。降仙の製鋼所が千里馬運動の象徴的な場所となったこともあり、製鋼の現場を描いたさまざまな作品が見られた。一方、その時期に活躍していた美術家には、植民地期から美術活動をおこなっていた人々の姿も見られた。
開催日時 第1回研究会・2020年5月16日 14時00分~17時00分
開催場所 オンライン研究会として開催
テーマ 解放直後北朝鮮の文化-社会史
発表者 板垣竜太・谷川竜一
研究会内容 人文科学研究所部門研究会(第6研究)2020年度第1回研究会
兼 科研費「冷戦期北朝鮮の文化史:人・情報の流動性に注目して」(20H01330)研究会

 Zoomミーティング(ビデオ会議)とMicrosoft Teams(資料共有)を併用して実施した。内容は次のとおり。

(1)報告
報告者:板垣竜太
題目: 解放直後北朝鮮地域社会の<罪と罰> ―― 黄海道平山郡の刑事訴訟記録(1946-47年)を中心に
報告者がNARA(米国国立公文書館)の鹵獲文書(RG242)の調査過程でたまたま遭遇した平山郡の刑事訴訟記録(1946-47年)92件のうち8件(これに加えてインターネット公開されている1件)を検討した。酒類密造、窃盗、公民証批判、保安員の不祥事、牧師の舌禍などの諸事件の刑事訴訟記録を、解放直後北朝鮮の流動的な社会状況下の規範と逸脱という観点から分析した。判決文だけではなく、捜査記録や調書等を合わせて分析することにより、新たな秩序がつくられつつある途上の雰囲気をリアルに把握できた。

(2)ミニ報告
報告者:谷川竜一
題目: 都市計画家・金正熙の1940年代
平壌の都市計画に携わったことで知られる金正熙(1921~1975)の自叙伝(ロシア語で書かれた経歴説明書)を読み解き、そこに現れた諸要素を検証するとともに、研究会のメンバーで共同討議した。

2019年度

開催日時 第6回研究会・2020年2月14日 17時30分~19時45分
開催場所 朝鮮大学校(東京)1313教室・2101教室
テーマ 文化としての社会主義
発表者 喜多恵美子、前田しほ、高山陽子、金真美、洪潤実
研究会内容  今回は朝鮮大学校(東京小平)において、科研費「文化としての社会主義」との共催で丸一日かけて研究会を実施した。
10:00-12:00
高山陽子(亜細亜大)「社会主義文化と儒教」
※中国の烈士陵の近現代史を俯瞰しながら、そこに儒教文化がどのように活用されているかを分析した。
喜多恵美子(大谷大)「産業と芸術:共和国美術を中心に」
※1950年代の千里馬運動時代のDPRK美術において、製鉄がどのように表象されているかを分析した。

13:15-16:15
前田しほ(島根大)「スターリン期プロパガンダの女性イメージ」
※スターリン時代ソ連における女性政策の後退と、プロパガンダでの女性の登場の拡大との関係について分析した。
金真美(朝大)「DPRKの女性政策と「家族革命化」映画」
※1970~90年代のDPRKの喜劇ドラマを対象とし、それが当時の家族革命化や女性政策とどう連動したものかを分析した。
洪潤実(朝大)「DPRK抗日パルチザン文学の女性イメージ」
※抗日パルチザンに参加した実在の女性を主人公としたDPRKの文学の変化を分析した。

共催:科研費基盤(B)「文化としての社会主義:北東アジアとDPRK」
開催日時 第5回研究会・2020年2月12日 17時30分~19時45分
開催場所 国立国会図書館関西館
テーマ 北朝鮮資料をめぐって
発表者 金成洙、田中福太郎
研究会内容  今回は国立国会図書館関西館で研究会を開催した。
 前半は田中福太郎氏(国立国会図書館関西館アジア情報課)の案内とレクチャーにより進めた。
(1) 13:00-15:00 関西館書庫見学
※関西館の開架・書庫の北朝鮮関連図書(単行本、雑誌、新聞)を見学した。
(2) 15:00-15:30 関西館の活用法についてのミニレクチャー
※合わせて関西館の蔵書の特徴や活用法についてレクチャーを聴いた。
 後半は館内の研究室にて、金成洙氏(成均館大学校・教授)による報告があった。
(3) 15:45-17:00 報告
題目:韓国における北朝鮮文化史資料データベースの現況について
※北朝鮮の社会主義建設期(1953-68年)における文学・芸術関連の資料の諸特徴について、共時的および通時的に整理した。そのうえで、韓国で進んでいるデジタル化、DB化について紹介があった。
開催日時 第4回研究会・2020年1月24日 17時30分~19時45分
開催場所 同志社大学志高館SK390
テーマ 北朝鮮の都市化の特殊性と平壌の役割
発表者 Pavel Em、朴桂利
研究会内容  今回はロシア科学アカデミー・研究員のPavel Emさん(地理学)を迎え、 “Peculiarities of urbanization in North Korea and the role of Pyongyang in its development”と題して、北朝鮮の都市化の特徴について報告(英語)を聞いた。朴桂利さん(韓国統一教育院・教授)がコメンテーターをつとめた。平壌への人口移動の制限とそれにともなって郊外化が進展していないこと、一般的に「特権層」が住むなどと言われる平壌だが人口学的に見た場合に北朝鮮全体とさほど指標が変わらないこと、平壌の消費文化が活発であることなど、地理学的にみた都市化の特色を明らかにした。
 今回はゲスト参加者も多く、言語も英語・コリア語・日本語・ロシア語が飛び交い、これまでにない興味深い研究会となった。
共催:科研費基盤(B)「文化としての社会主義:北東アジアとDPRK」
開催日時 第3回研究会・2019年12月6日 17時00分~19時30分
開催場所 同志社大学志高館SK110
テーマ 堀潤さんと語る ―若者が手当てする日朝の「分断」―
発表者 堀潤
研究会内容 講演:堀潤さん(ジャーナリスト、NPO法人「8bitNews」代表)

内容:
 公開イベントとして開催した。
 掘潤さんは、まず新たな形のコミュニケーションを目指してNHKに入ったこと、そこでいろいろ試みるが、自分のしたい表現ができなくなったため辞めたこと、その後フリージャーナリストとして、またNPO法人「8bitNews」として取り組んできたことを紹介した。そのうえで現在取り組んでいるドキュメンタリー映画「わたしは分断を許さない」(2020年公開)のコンセプトを論じるとともに、そのなかでNGO「KOREAこどもキャンペーン」のプログラム「日朝大学生交流」に同行取材した経験について語った。
 また、実際にこの「日朝大学生交流」に参加した3名の学生(学部生、大学院生)が、訪朝経験について語った。終了後の質疑応答も活発におこなわれた。

主催:同志社大学グローバル・スタディーズ研究科、同志社大学人文科学研究所・第6研究会、KOREAこどもキャンペーン
後援・協力:京都コリア学コンソーシアム、同志社コリア研究センター、日朝学術研究会
開催日時 第2回研究会・2019年11月22日 18時30分~20時30分
開催場所 同志社大学志高館SK390
テーマ 平壌新市街における引き揚げと接収――「日本人街」はどのように利用・再編されたのか
発表者 谷川竜一
研究会内容 報告者:谷川竜一(金沢大学)
報告主題:「平壌新市街における引き揚げと接収――「日本人街」はどのように利用・再編されたのか」
(内容)植民地期に平壌で日本人が使っていた統治施設や住宅を、1945年8月の解放から日本人がいなくなる1946年10月までの時期に、ソ連軍や朝鮮人がどのように接収し使用していったのかを、引揚者の手記、地図、航空写真などを総合して分析した。多くの地域から日本人・朝鮮人・ソ連軍人が流入するなかで、日本人が住んでいた新市街を中心とする建築群が活用可能なストックとして機能していたことなどが明らかになった。
開催日時 第1回研究会・2019年10月21日 18時00分~20時00分
開催場所 同志社大学志高館SK390
テーマ 北朝鮮文化史研究の視座
発表者 板垣竜太
研究会内容 18:00~19:30 報告
報告者:板垣竜太(同志社大学)
報告主題:「北朝鮮文化史研究の視座」
(内容)内外における朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)研究全体の動向について概略をおさえ、新たな文化史の共同研究の視座をどう定めるかについて論じた。

19:30~20:00 打ち合わせ
※今後の計画等について打ち合わせをおこなった。