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第1研究 近代日本のキリスト教会形成 ~日本組合基督教会を中心に~ 研究代表者:森田 喜基(キリスト教文化 センター)

 本研究は、同志社設立の礎でもある会衆派教会の伝統の上に、日本に設立された日本組合基督教会(以下、組合教会)が、近代日本の形成にどのような影響を及ぼしたのかについて検証するものである。組合教会は「自治・自由」の教会であるが、その自由が影響・包括する範囲は、教会、またそれぞれの教役者(牧師)によって差異が存在し、特に国家との関係においては、かなりの振れ幅があった。それらの社会的影響について、ポストコロニアル理論やリベラル・ナショナリズムなど新たな視点を導入して再検証する。また日本基督教団大阪教会、浪花教会など組合教会史料の整理・データベース化及び分析にも取り組む。

2025年度

開催日時 第4回研究会 2025年7月18日 17時30分~19時00分
開催場所 同志社大学 今出川キャンパス 啓明館 共同研究室A 、 Zoom併用
テーマ 『同志社における「キリスト教主義」の思想的特質 ―草創期修身教育の再検討を通してー』
発表者
布施智子 研究員 (シカモア組合教会信徒伝道者、神学研究科後期課程在学中)
『同志社とシカモア組合教会』
吉岡 恵生 氏 (日本キリスト教団高槻日吉台教会牧師、元シカモア組合教会牧師)
研究会内容
 布施研究員の報告では、同志社における「キリスト教主義」がどのように理念として形成され、初期においてどのように実践されたのかを、「修身学」という科目に着目して考察された。特に、アメリカの倫理観を基盤としつつ、日本において土着化されたキリスト教的倫理教育の実態が示された。
 使用された教材として、マーク・ホプキンス著『Lectures on Moral Science』を取り上げ、アメリカの高等教育の思想背景と、その導入が明治初期の日本教育との間にどのような違いや緊張を生じさせたかを中心課題とした。
 発表原稿は以下の通りである。

はじめに
第1章 「キリスト教主義」とは何か
第2章 草創期の同志社における聖書教授と修身科目
 2-1 「聖経」から「修身学」へ
 2-2 明治初期における修身学と教科書
 2-3 同志社におけるカリキュラムと修身学の教材
第3章 「道徳哲学」と「修身学」
 3-1 使用教科書:M・ホプキンス著『Lectures on Moral Science』
 3-2 神学から道徳哲学へ:アメリカの思想潮流と新島襄の経験
第4章 同志社における智徳論争
おわりに
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コメント・質疑応答

■藤田研究員
ホプキンスの教科書の採用と智徳論争との関係性が明確でない。
→ 智徳論争の記述は当初の構成には含まれておらず、結果として後付けの印象となっている。
■高田研究員
智徳論争の具体的内容が不明瞭。智と徳とは何か、なぜ争われたのかを明示すべき。
カントの頭文字(イニシャル)は「I」であるべき。文体にぎこちなさがある。翻訳の見直しを推奨。
「聖書演習」の実態や、新島がリバイバルを本当に体験していなかったのか疑問が残る。
■蘇研究員
「キリスト教“主義”」という用語の再定義が必要。
「修身」という語の語源や導入経緯を明らかにすべき。
修身はキリスト教教育の隠れ蓑だったのか、それとも積極的拡張であったのか。
注釈が少ない部分が散見される。
■森本研究員
智徳論争に関わった人物の分析を通して、さらなる議論の深まりが期待される。
ホプキンスの教科書の使用期間についての正確な把握が求められる(1970〜80年代までは追えるが、それ以降は不明)。
修身という科目がいつまで同志社で行われていたのかについての調査が必要。

 引き続き吉岡恵生先生より、同志社と深い関わりを持つアメリカのシカモア組合教会(Sycamore Congregational Church)について、その歴史的背景と信仰的特質、そして同志社との精神的・人物的つながりについて解説された。
 シカモア組合教会は、初代牧師大久保真次郎を迎え、オークランド独立教会として創立された。会衆派(Congregational Church)の教会であり、日系人コミュニテーのランドマークであった。
 渡米中の海老名弾正が立ち寄り、説教をするなど、その黎明期より同志社との深い関係を築く。歴代牧師のほとんどは同志社出身であった。
 シカモア組合教会は、第二次世界大戦後には日系アメリカ人教会として「宗教と文化の交差点」としての特質を持ち続けている。吉岡先生ご自身もこの教会において牧会を経験され、その現場から見た信仰と教育の交差、また信徒の姿勢についての考察が共有された。
開催日時 第1回研究会 2025年4月21日 17時30分~19時00分
開催場所 同志社大学大阪サテライトキャンパス セミナールーム、ZOOM併用
テーマ 研究叢書編集方針の確認と、内容についての懇談
発表者
高田太  、森田喜基
研究会内容
 21期第3研究の成果を同志社大学人文科学研究所研究叢書としてまとめるための最終確認を行った。


■文字数について
・総ページ数272頁(891文字/頁)
・一人当たり21頁(18711文字) 書く人によって多い少ないがあるため、調整をする。
・英語が入るため横書きとする。


■内容
・日本の学校とアメリカンボードについて
・公開講演会シンポジウム原稿14000文字分(写真含む)
・コラム4人分(計8頁)
・参考文献リスト
・年表(10頁) (体裁は出版社と研究代表者が相談)
・まえがき、あとがき、掲載者情報


■ その他詳細
・原稿6月末日が締め切り厳守 研究補助者まで
・原稿の内容について
・原稿内容については、人文研公開講演会の発題をベースにこれを膨らませて、学術的に整えるものとする
・専門性、学術性を高めるよりは、一般性、各学校の紹介の要素を重視する
・文体は常態(論文調)とする
・注の付け方、文献の記し方などについては、『キリスト教社会問題研究』の執筆要領に準ずるものとする
・注は各稿の最後につける(文末脚注)
・原稿とは別に巻末リストに掲載する文献情報を提供する・脚注ではなく、各論稿の後注とする
 (コラムも必要であれば、注を付ける)


書籍としての統一性については5月刊行予定の『ブックレット』の初稿を読んだうえで、それをもとに統一性を高める。
戦後以降の時代については原則触れない。 

■年表について
その後森田・小林で重複している部分等がないかをチェックする。
体裁については出版社と相談の上、決定する。
年表は現状、明治期(1912年)までとする。