このページの本文へ移動
ページの先頭です
以下、ナビゲーションになります
以下、本文になります

第5研究 データサイエンスを用いた日本伝統文化の継承と変容の文理融合研究  代表者:福田 智子(文化情報学部)

 本共同研究では、まず、平安・鎌倉期の和歌や物語が、文字情報はもとより、絵画を伴って享受されていく現象に着目し、文学や歴史学、芸術学・宗教学といった多角的な観点から学際的に研究することで、日本古典文学の枠を超えた、日本伝統文化の受容史を再構築することを目的とする。文化分野の共同研究者が、専門性を生かした研究を個々に行った上で、史料画像とそのメタデータを共有し、分野を超えて相互に関連性を見出していく。
 また、デジタルヒューマニティーズ(DH/人文情報学)の観点から、新しい視点や知識を得るために、文字列解析の他、類似画像解析も視野に入れ、適切な情報科学技術を導入する。これは、文化分野の専門性の高い研究を支えるのみならず、情報共有をより円滑にし、融合研究の要となる。

2025年度

開催日時 第4回研究会 2026年3月10日 10時30分~17時00分
開催場所 同志社大学 今出川校地 寧静館 4階会議室
テーマ 春の研究集会 第2日
発表者
入江 さやか 他
研究会内容
平安時代における「柑子」について
入江 さやか・北島 宣(岐阜女子大学・京都大学名誉教授)
 奈良時代から平安時代における「甘子・柑子」が現在のカンキツ種のコウジと同じか否かについて明らかにするため,平安時代に記載された「甘子・柑子」について調査し、その特性などを明らかにする。

九州産業大学蔵「三十六歌仙帖」について
森 あかね(九州産業大学)
 「三十六歌仙」は歌と歌仙絵を組み合わせた形式の作品が多く制作され、九産大が新たに購入した「三十六歌仙帖」もその一つである。本発表では他「三十六歌仙」作品との比較を通し、現時点で判明した特徴について報告をする。

芸道書の性質と構造 序:「室町文化」の文化史的位置付け
重田 みち(同志社大学宮廷文化研究センター嘱託研究員)
 平安時代の歌学書等に続き、中世に種々のジャンルへと拡がった芸道書(伝書)に注目し、その分類、書き物としての性質、内容の構造について、今後のデータ活用も視野に入れた整理法の模索を含めて考えてみたい。

《講演》 小堀遠州の口切帳 寛永廿・正保元・二・三 ―最後の茶会は正保四年二月一日―
矢野 環(同志社大学名誉教授)
 小堀遠州は官僚であり、茶の湯・作庭等で名高い。その茶会記は平成八年以降充分に調査されなかった。今回、正保元年口切帳、同三年口切帳等が確定し、50会程の新規を含めて全体が406会となった。また献立も別途50件増加した。
※YouTube動画公開 https://youtu.be/mGjlBusp89c

「海石榴(つばき)」と「石榴(ザクロ)」―六帖題和歌の反御子左家―
福田 智子(同志社大学)
 『古今六帖』「ざくろ」題の歌は、万葉歌の誤読とされる一首のみが載る。後に反御子左家の藤原知家は、六帖題「ざくろ」を物名歌として詠む。そこに、六帖題和歌における万葉歌の継承のあり方とその限界を探る。
開催日時 第3回研究会 2026年3月9日 10時30分~17時30分
開催場所 同志社大学 今出川校地 寧静館 4階会議室
テーマ 春の研究集会 第1日
発表者
石野 浩司 他
研究会内容
伊勢神宮の式年遷宮のしくみ―なぜ20年に一度(19年間隔)なのか―
石野 浩司(同志社大学人文科学研究所嘱託研究員(社外))
 神宮式年遷宮は(伝承によれば)天武天皇の制定をうけて、皇后であった持統天皇が実施、昨年から始まった第63回神宮式年遷宮まで(戦国時代の中絶をはさんで)1300年の歴史がある。天武天皇による立制のことは正史に明記がなく、そもそも「なぜ20年に一度なのか」はながらく謎であった。そこで有力な仮説「朔旦冬至説」「倉庫令説」を検証して、その当否を考える。

吉井勇の新版『東京紅燈集』について
南里 一郎(京都産業大学非常勤講師)
 吉井勇は大正5年刊の『東京紅燈集』を昭和22年に増補し、新版として再刊する。「定本 吉井勇全集」の解説は旧版・新版の異同を示すものの新版の全貌は見えづらい。それぞれの構成を確認し、作者の意図を考察する。

香りからみた黄熟香(蘭奢待)
鈴木 隆(高砂香料工業株式会社)
 香道文献に記載された蘭奢待の聞を参考に、その香りの特徴を把握したうえで、2024年に正倉院事務所と行った黄熟香調査の化学分析の結果と照合してみたい。また、蘭奢待の香りの再現過程やその香気特徴を紹介する。

《講演》「ゆききの丘」考
北川 和秀(群馬県立女子大学名誉教授)
 万葉集の巻八・1557番歌に見える「逝迴丘」は今日では「ゆきみる丘」が定訓になっているが、平安時代には「ゆききの丘」と訓まれ、その場所も歌枕になっている。いわば架空の地名「ゆききの丘」が、その場所まで比定されたことなどについて述べる。

『源氏絵抄』調査経過報告
岩坪 健・福田 智子(同志社大学)
 『源氏絵抄』は、元文五年(一七四〇)四月、松井祐孝の手に成る写本である。花鳥風月の全四冊に、四百図余りの源氏絵と詞書(物語の梗概)が収められる。その図柄と本文について、基礎的な調査の結果を報告する。
開催日時 第2回研究会 2025年9月5日 10時30分~17時00分
開催場所 同志社大学 今出川校地 寧静館 4階会議室
テーマ 夏の研究集会 第2日
発表者
南里 一郎 他
研究会内容
吉井勇『酒ほがひ』所収歌のその後 ―異同から見た抄本・覆刻版・選歌集―
南里 一郎(同志社大学人文科学研究所嘱託研究員(社外))
吉井勇の第一歌集『酒ほがひ』(明治43年1910)の歌は、1915年の抄本や1946年の覆刻版のほか、幾度も自撰歌集に収録される。それらの歌の歌句・歌順の異同を論じ、歌集に収録する際の方針に言及する。

吉井勇の味な歌 ―辻留・鶴屋八幡・谷崎潤一郎―
田坂 憲二(元慶應義塾大学教授)
吉井勇は、京阪の老舗から依頼されて歌を作ることが多かったが、それらの多くは『吉井勇全集』に未収である。今回は、辻留と鶴屋八幡に関するものを取り上げ、谷崎潤一郎との関わりにも言及する。

「古筆手鑑」の構成要素 ―銘と排列とを中心に―
瀧山 嵐(総合研究大学院大学博士後期課程)
古筆手鑑は、多種多様の時代・ジャンルの古筆切(※切断・分割された写本の断片)を貼り込んだメディアである。それら古筆切の排列方法と銘との分析を通して、古筆手鑑の学術資料としての特質につき検討する。

扇の文化 ―和歌と歌意絵と―
福田 智子(同志社大学文化情報学部教授)
天禄四年(973)円融院扇合の清原元輔歌の伝承のあり方を、室町末期から江戸初期にかけて流行したという「扇の草子」との関わりから検証するとともに、同志社大学文化情報学部所蔵「扇の草子断簡」を紹介する。

人文学系資料のデジタルアーカイブとその教育利用
大井 将生(同志社大学文化情報学部准教授)
学校教育における人文学系デジタルアーカイブの活用方法について、事例を基に議論する。具体的には、ジャパンサーチのキュレーション機能、異なる機関が一堂に会して資料を共創的に「教材化」する方法、資料のLinked Open Data化、「語り」のフロー化などについて述べる。
開催日時 第1回研究会 2025年9月4日 10時30分~17時30分
開催場所 同志社大学 今出川校地 寧静館 4階会議室
テーマ 夏の研究集会 第1日
発表者
末松 剛 他
研究会内容
近世即位式をめぐる装束指図と絵図の史料論
末松 剛(九州産業大学地域共創学部教授)
科研課題「即位式絵図の記録と伝承に関する史料学的研究」の成果をふまえ、新規に調査した装束指図と絵図を検討する。それぞれの記録史料としての有用性を判断するために、着目点と検討方法など、史料論として提示したい。

 「ついで」に本筋を語る光源氏の話法  ―玉鬘の素性明かしと裳着の腰紐役を依頼する場面を視点として―
古瀨 雅義(安田女子大学文学部教授)
『源氏物語』「行幸」巻で、光源氏は内大臣に玉鬘の素性を打ち明け、父親として裳着の儀の腰紐役を依頼し、了解を得る。この微妙な話題は「ついで」を装って本筋が語られ、話が展開していくことに注目し、『源氏物語』の話法を考察する。

中間報告(その4)『鼻帰書』にみる東寺即位法の起源神話 ―伊勢神宮における秘説、図像と解釈―
石野 浩司(同志社大学宮廷文化研究センター研究員・同志社大学人文科学研究所嘱託研究員(社外)
中世神道書『鼻帰書』に記録された神宮相伝「辰狐法」(タスキカケ作法)について、その原像を延暦『外宮儀式帳』から読み解く。あわせて弥生神殿に遡及する神宮正殿建築の装飾意匠「御形」の中世的な展開「図像と解釈の言説世界」についても視野に入れて、神宮周辺の中世思想の形成を跡づける。

蘭奢待調査の経緯  ―奇気、杏仁―
矢野 環(埼玉大学名誉教授・同志社大学名誉教授)
秋の正倉院展には黄熟香(蘭奢待)が出展される。2023年9月からNHKの蘭奢待の企画に関与し、2つの放送(2023, 2025)と付帯する読売系の展覧会ができた。これらの原点と経過、また米田該典氏について述べる。
※動画公開 https://youtu.be/ClH0ulpP9Qs

近代国家の饗宴儀礼に上代由来の歌舞が再配置された様相について
高橋 美都(同志社大学人文科学研究所嘱託研究員(社外))
宮廷儀礼(神楽以外の饗宴や年中行事)に上代歌舞復興を求める動きは、近世から近代国家形成期に間歇的に認められる。(明治)撰定譜(=伝統的書法の雅楽譜集)と儀礼での奏演記録断片などから概観報告を試みる。