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第17研究 市場志向マーケティングの新潮流 研究代表者:冨田 健司(商学部)
マーケティング研究において市場に目を向けることは重要であり、市場志向は企業に高いパフォーマンスをもたらすことや新製品開発の成功率を高めることが指摘されてきた。そして、市場志向を顧客志向、競争志向、職能横断的統合という3つの下位概念に分け、これらの諸変数がもたらす影響についての研究が蓄積されてきた。
これまでの先行研究はハイテク産業を調査対象としたものや、産業を分けない包括的な調査が多いため、先行研究で見出された結論が当てはまらない産業があると思われる。そこで、いくつかの産業を対象に、個々に詳細に調査することにより、これまでの先行研究で導出されたモデルを検討し、産業特性を見出すことを研究目的とする。
2026年度
| 開催日時 | 第4回研究会 2026年7月14日 17時~19時30分 |
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| 開催場所 | オンライン |
| テーマ | 経営者の経営学 |
| 発表者 |
舟津 昌平 (東京大学) |
| 研究会内容 |
経営者の経営学について講師のプレゼンテーションをもとに議論した。「経営者の経営学」では「の」とは何かと考える。「の」が意味するところは、「のための」「による」「をあつかう」などがあり、それぞれ意味合いが異なる。また、「経営者」は(日本の)経営学において中核的な概念であり続けてきた。この「経営者」は英語のmanagerやbusiness Leaderとも異なったニュアンスであるという講師の主張をもとに議論した。
そして、経営者の知恵を考えると、なぜ経営者は成功法則を導きうるのだろうか。それは、経験的に少数の変数間の高い相関を見抜くことができるからと考えることもできる。それらをまとめ、組織や他者に効果的に伝えるのである。それは、因果推論上厳密でなくとも、予測因子として望ましい結果をもたらす可能性が高いといえる。
さらに、経営者による経営学を考えると、経営者として長いキャリアと成果を刻んだ人物が、経営学を提唱する例が多数存在する。また、少数ながら、経営学者が経営するケースもある。これらは「北米ビジネススクール的」で「科学的」な経営学と、何が違うのだろうか、どういう特徴を持つのだろうか、どう受容されてきたのか、という問いも、われわれ経営学者が長年にわたり、考え続けてきた問いである。
経営者がうみだす経営理論は、単一あるいは少数の具体事象から始まるgrounded theoryのはずである。それは一般理論にはなり得ないのかという講師の問いは、経営学を研究するうえで非常に重要である。また、具体事象から抽象理論を導き出すのが経営学であるが、抽象理論から具体事象が展開されるのだろうか。これらの点について皆で議論した。数多くの質疑応答や議論の展開があり、2時間の開催時間を予定していたが、延長することとなった。とても有意義な研究会となった。
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2025年度
| 開催日時 | 第3回研究会 2026年2月26日 17時~19時30分 |
|---|---|
| 開催場所 | オンライン |
| テーマ | レビュー・口コミ投稿から可視化する性産業における性接触ネットワーク |
| 発表者 |
伊東 啓 (長崎大学熱帯医学研究所) |
| 研究会内容 |
性感染症の研究は、感染を招いたネットワークを分析することにあり、マーケティングや経営学におけるネットワーク研究に通じるものがある。伊東先生の研究は、情報処理学会などで優秀賞を受賞するなど、経営学関連の学会でも高い評価を得ているため、本研究会メンバーにとって非常に有益な内容であった。
伊東先生の研究では、性風俗のクチコミサイトによる書き込みから、男性顧客と女性従業員との距離、男性顧客間の距離などを可視化している。具体的には、男性顧客と女性従業員とをノードで表し、ノードを2つのグループ分けて各グループ内のノードがリンクしないようにできるネットワークを二部グラフとしてしている。そして、データから得られたネットワークを男性顧客のグループと女性従業員のグループとに分け、男性同士や女性同士の繋がりが存在しない二部グラフを作成している。二部グラフの平均経路長とクラスタリング係数、次数相関を計算することで、現実のネットワークが持つ特性を検証している。さらに、男性顧客同士の射影ネットワークと、女性従業員間の射影ネットワークに変換することで、本人たちも知らず知らずのうちに繋がっている「同じ女性を介した男性同士」と「同じ男性を介した女性同士」の繋がりが持つ次数相関を計測している。
この研究は、マーケティングにおけるクチコミサイト(例えば、食べログやAmazonなど)を研究する際に応用できるため、その可能性について皆で議論した。数多くの質問があり、2時間の開催時間を予定していたが、延長することとなり、とても有意義な研究会となった。
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| 開催日時 | 第2回研究会 2025年10月21日 16時40分~19時 |
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| 開催場所 | 同志社大学今出川校地 扶桑館413教室 |
| テーマ | 新しい分析手法の可能性を探る |
| 発表者 |
横山 斉理 ・ 柿沼 英樹 |
| 研究会内容 |
ビジネス現象の因果関係を探る新しい分析手法として、(1)定性分析におけるfsQCA(ファジィ集合を用いた質的比較分析)、(2)定量分析における計量書誌学的手法、といった2つの手法の概要を発表者が紹介した。
(1)fsQCA
QCA(質的比較分析)は、ミルの比較方法に着想を得た分析技法で、集合論とブール台数に基づくものである。特徴は、祝雑な因果関係(結合因果:conjunctural causation、等分散性:equifinality、因果の非対称:causal asymmetry)を前提としており、統計分析とは大きく異なっている。
QCAを用いた研究は政治学で発達したが、論文数を見るとビジネス、マネジメント分野が多くなっており、ビジネス分野ではfsQCAが多い。
このfsQCAは、結果を生み出す原因条件(変数)の組み合わせを見つけるのに役立つ、原因条件(変数)を加算しても結果を導けない場合に有効である、因果が非対称である現象の分析が得意である点などを検討した。
(2)計量書誌学的手法
軽量書誌学的手法は、文献の書誌情報(bibliometric data)を用いた計量分析である。特徴は、Web of ScienceやScopusから取得した書誌情報データを用いたテキストマイニングやネットワーク分析で、トピックや学術誌などの全体像を抽出するものである。
この計量書誌学的方法は、科学知識の生産システムがどう動いているのか、計量的に明らかにする学問領域である、研究者の生産性や学術研究のインパクトなどが論じられる、学術誌のインパクト・ファクター(impact factor)も計量書誌学の知見の一つである点などを検討した。
2つの分析手法を、各メンバーの研究テーマに応用した場内の可能性などについては、数多くの質問があり、2時間の開催時間を予定していたが、延長することとなり、とても有意義な研究会となった。
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| 開催日時 | 第1回研究会 2025年5月16日 17時~19時 |
|---|---|
| 開催場所 | Zoom オンライン開催 |
| テーマ | 市場志向マーケティングの新潮流とは |
| 発表者 |
山下・崔・横山・石田・柿沼・中村・川上・冨田 |
| 研究会内容 |
第17研究会において初回の研究会となるため、メンバー全員が各自、自分の研究概要・関心領域を発表した。そして、市場志向マーケティングの近年の研究を概観し、本研究会の研究の方向性を模索した。
マーケティングのメインストリームである流通研究を核に、さまざまな産業がメンバーの研究対象となっており、金融、医療、製薬、医療機器といった従来のマーケティングでは研究対象となりにくい産業を対象としている。これらの産業では売り手と買い手との間に情報の非対称性が大きく、情報の非対称性をどのように扱うかが企業戦略上の鍵となっていることなどを議論した。
また、近年の企業戦略では研究開発などの場面で、オープン・イノベーションが行われることも多い。従来のクローズド・イノベーションと比べて、オープン・イノベーションではエコシステムが重要となるため、周辺の企業とネットワークをいかにして構築していくか、また、いかに連携していくかが企業戦略上の課題となる。この関係構築はマーケティング視点からの議論が可能となる。オープン・イノベーションは従来、経営戦略論や経営組織論の枠組みで議論されることが多かったが、マーケティング領域での議論はまさに新潮流となる。
議論を重ねる中で、研究テーマだけでなく、研究における分析手法も多様化しているため、各自の分析手法についても確認した。分析手法は定性分析と定量分析とに分かれるが、メンバーの中には、定性分析におけるfsQCA(ファジィ集合を用いた質的比較分析)、定量分析における計量書誌学的手法を扱うメンバーがおり、これらはビジネス現象の因果関係を探る新しい分析手法であるため、次回の研究会で2つの分析手法について、あらためて討論することなった。
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