研究会のテーマと概要

第20期(2019~2021年度)

研究会研究課題・代表者・概要
第1研究近代日本の社会事業の形成とキリスト教
―欧米思想の受容とその影響をめぐって―
代表:木原 活信(社会学部)
「近代日本の社会事業の形成とキリスト教 ―欧米思想の受容とその影響をめぐって―」というテーマで、研究をしていく。本研究会は、これまでのCS研究の「同志社社会事業史の基礎的研究」「同志社社会事業史の発展的研究」ということで都合二期にわたって研究を実施してきた研究を踏襲しており、それを踏まえつつ、そこで達成されなかった内容課題を含んでいるという点が前提となっている。研究内容の特徴は、キリスト教社会福祉を対象としている点、および欧米の社会福祉思想の影響の日本への受容の解明であるが、その典型的な事例として同志社社会福祉事業史に焦点があてられることになる。
研究会の運営方法としては、定例的な研究会、講演会、出版に向けた作業等を主とするものである。
活動報告第20期(2019~2021年度)

研究会研究課題・代表者・概要
第2研究第二次大戦後日本の教育再建と日系キリスト教
代表:吉田 亮(社会学部)
アメリカ日本人移民(日系人)教育文化史が戦後日本教育文化史にどのような影響を及ぼしたかを究明する。
アメリカ日本人移民(日系人)教育史において転換点となった「強制収容体験」が戦後日本の教育再建に及ぼした影響に特化した越境史研究である。「強制収容体験」はアメリカ社会全体にとって「民主主義」「自由」「公平性」「人種」の意味を問う重大事件であった。この体験に直接・間接に大きく関与した日本人、日系人、アメリカ人の中で、占領期日本の教育再建に直接関与した事例が多く存在する。戦争のために米国滞在を余儀なくされた日本人キリスト者エリート、日系人宗教者達、アメリカ人元日本宣教師や牧師他であり、彼(女)等がGHQの教育政策、キリスト教系大学の再編、反核・平和教育活動他に深く参画し、牽引した事例を研究する。その際、仏教系との比較の視点を入れる。
活動報告第20期(2019~2021年度)

研究会研究課題・代表者・概要
第3研究知識発見型データベース作成アプリの開発と日本伝統文化の分野横断的研究
代表:福田 智子(文化情報学部)
 本研究は、江戸期の香道伝書と歌留多(かるた)を対象に、芸道や文学のみならず、雅楽・儀礼・美術の視点から多角的に研究することで、日本文化における伝統享受のあり方を再構築することを目的とする。
 そこで、独自に開発した画像注釈データベース作成アプリをより使いやすく改良し、これを用いて、香道伝書と歌留多を軸とする伝統文化データベースを構築して、未公開資料の画像と共に一般に提供する。さらに、そのデータベースをデータマイニングの技法を用いて分析し、ジャンルを超えた文化相互の関連性の中に、日本文化のあり方を具体的に把握していく。
 データベースを構築するために情報科学研究者と連携して研究を進める一方、二ヶ月に一回のペースで、組香の実習を行う。また、夏期休暇中と年度末には全体集会を行う。
活動報告第20期(2019~2021年度)

研究会研究課題・代表者・概要
第4研究ASEANの連結と亀裂の研究:供給連鎖・資源・領有権の東アジア的地経学・地政学
代表:林田 秀樹(人文科学研究所)
 本研究の目的は、ASEAN(東南アジア諸国連合)加盟国間、及びそれらを含む東アジア諸国間において形成されている経済的連結関係とそれに亀裂をもたらしている政治的緊張関係との相互作用について調査研究することである。その上で、ASEANとその加盟国が今後東アジア全域の平和と繁栄のために指向すべき針路を構想する。本研究では、こうした目的追求のために、「東アジア大の地経学と地政学」という方法論的枠組みを設定する。地経学的な分析においてはASEAN加盟国の域内外に形成されているサプライチェーンと域内固有資源の開発・利用を、地政学的な分析においては資源開発とも関連する領有権問題を軸に調査分析を行う。調査研究は基本的にメンバー各自が課題を分担して行い、その結果を定例研究会の場で交流し合って学会報告や論文等の個別の成果に結びつけ、メンバー間の議論を通じて共同研究としてのまとまりのある成果を目指す。
活動報告第20期(2019~2021年度)

研究会研究課題・代表者・概要
第5研究ソーシャル・イノベーション学構築に向けた総合的研究
代表:今里 滋(政策学部)
遡ること2006年、応募者が所属する同志社大学大学院総合政策科学研究科にソーシャル・イノベーション研究コースが設立されて以来、当時は散見される程度であったソーシャル ・イノベーション(socialinnovation)という用語、概念、あるいは実践が内外で拡散している。しかし、ソーシャル・イノベーションの統一的・確定的定義は未定であり、ソーシャル・イノベーションが教育および研究の系としての学として成立可能なのかについても議論はほとんど見られない。本研究は、大学院での10年を超えるソーシャル・イノベーション教育・研究の蓄積を踏まえ、学としてのソーシャル・イノベーションの確立に向けた方法的基礎とはなんであるべきかを基本的問いとして措定し、その解を多角的に追究せんとするものである。そのために、①人類史を俯瞰したソーシャル・イノベーションの史的展開の考察、②現代における国内外のソーシャル・イノベーションやソーシャル・イノベーターに係る研究、教育、実践等の調査、および③ソーシャル・イノベーション研究コースの修士・博士論文の精査・分析を通じた市民的ソーシャル・イノベーション学の可能性の検討を行う。
活動報告第20期(2019~2021年度)

研究会研究課題・代表者・概要
第6研究体制形成期北朝鮮の文化史の学際的研究
代表:板垣 竜太(社会学部)
本研究は、1945年から1960年代末(「体制形成期」と呼ぶ)における北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の文化の諸領域を学際的に研究することで、従来の国家中心的なアプローチを克服し、社会を生きた人々のリアリティを描きだすことを目的とする。研究に際しては、個人とその実践、社会の流動性に着目するとともに、文化の諸領域がそれぞれ独自性を持ちながらも収斂していく様相を明らかにするという新たな視点を一貫して導入する。そのために学際的な北朝鮮文化史研究体制を構築し、海外に散在する豊富な北朝鮮資料を共同で調査するとともに、インタビュー調査も併用する。研究会を通じて文化諸領域間の総合をはかったうえで、その成果を学術論文、論文集、公開シンポジウムで内外に日本語・英語・コリア語により発信する。そのことで、社会一般の北朝鮮の内在的理解に資するとともに、新たな北朝鮮文化史研究の潮流を国内外の学界につくり出す。
活動報告第20期(2019~2021年度)

研究会研究課題・代表者・概要
第7研究『商品史文献解題』編集に関する研究
代表:川満 直樹(商学部)
 これまで商品学、社会史、生活史、経済史や経営史などその他多くの研究分野で、商品や商品史に関する研究が行われてきた。しかし、現在それらの研究を総覧できる「文献解題」が存在しない。本研究会では『商品史文献解題』を作成することによって、これまでの研究を整理すると共に将来の商品史研究の課題を発見することを目的とする。
 本研究会は、定例研究会を年間7回(原則として4月・5月・6月・7月・10月・11月・12月)開催する予定である。参加者は年1回の研究報告を行い、相互に議論し『社会科学』やその他への投稿原稿を作成する。また、商品および商品史に関係する資料(史料)を収集するために調査出張等も行う予定である。
活動報告第20期(2019~2021年度)

研究会研究課題・代表者・概要
第8研究現代レイシズムの批判的比較分析
―植民地研究との融合を目指して
代表:菊池 恵介(グローバル・スタディーズ研究科)
 1980年代以降、ポストコロニアル研究の流行とともに、植民地主義の歴史の批判的な研究が世界各地で行われてきた。しかし、アカデミズムの動向とは裏腹に、一般社会では移民排斥や歴史修正主義が高揚するなど、状況はあまり改善したとはいえない。アカデミズムにおける知の生産と一般社会の認識のズレは何に起因しているのだろうか。これを理解するには、人々の歴史認識の形成においてサブカルチャーやインターネットなどが果している役割を検討すると同時に、グローバリゼーションにともなう階層格差の拡大と、それに伴う社会不安の増大といった間接的な要因にまで視野を広げていく必要があるだろう。本研究会では、現代の排外主義の問題を過去の植民地主義の歴史と一つながりの現象として認識した上で、これまで別個に歩んできた植民地主義研究とレイシズム研究の融合を図っていく。
活動報告第20期(2019~2021年度)

研究会研究課題・代表者・概要
第9研究歴史学の成り立ちをめぐる基礎的研究 
―現場と公共性―
代表:小林 丈広(文学部)
 本研究は、人文科学の社会貢献のあり方を考える手がかりとして、歴史学と地域社会との関係に焦点を当て、その歴史的展開をさまざまな角度から検討することを目的とする。本研究においては、京都をフィールドに2006年から行われてきた京都歴史研究会の成果を受け継ぎ、新たに同志社における歴史研究の蓄積や南山城地域での古文書調査の経験、考古学や町並み保存の取り組みなど、対象を広げながら議論を深めていく。定例の研究会では、各研究員がそれぞれの現場における実践報告を行うほか、関連史料の調査や整理の成果を報告する史料調査報告などを随時行う。また、必要に応じて史料整理作業や関係者からの聞き取りなどを研究会の中で行い、その成果を報告書に反映することを目指す。
活動報告第20期(2019~2021年度)

研究会研究課題・代表者・概要
第10研究近現代日本の保守主義をめぐる思想史的研究
代表:望月 詩史(法学部)
 冷戦構造が崩壊して以降、論壇で保守主義が論じられる機会が増えた。だが、論者によりその意味内容が異なり、議論が噛み合わない場面も多い。その一方で、保守主義の定義付けには困難が伴う。他の思想と比べて非体系的であり、特定の価値を掲げないからである。また、E・バークの思想に依拠して保守主義を定義付ける論者も少なくないが、このアプローチの妥当性は十分に検証されていない。そこで本研究会では、これまでの日本の保守主義の論じ方を批判的に検討する。そして、他国の保守主義と異なる性格を有している可能性を念頭に置きながら、「日本の保守主義はどのような思想なのか」を明らかにしていきたい。研究会は原則として毎月第4金曜日に開催し、長期休暇中に一日研究会も開催予定である。研究成果は、主に『社会科学』に投稿し、公開講演会の開催や成果論文集の刊行も検討している。
活動報告第20期(2019~2021年度)

研究会研究課題・代表者・概要
第11研究サプライチェーンの設計と運営をめぐる産業間・国際比較研究
代表:中道  一心(商学部)
 本研究会の目的は、サプライチェーンが如何に設計され、日々のオペレーションがどのように実践されているのかについて具体的に明らかにし、産業間比較・国際比較を行うことでサプライチェーンの動態を論理的に解明することである(素材産業:鉄鋼業・セメント業・製紙業・製糸業など/完成品産業:自動車産業・建設業・印刷業・アパレル産業など)。研究会は、産業の実態研究に取り組んでいる研究者によるサプライチェーンの調査研究の発表を軸に、特定産業を対象とした研究書の書評を行うことにより、サプライチェーンの具体像をリアルに把握するとともに、産業、国(地域)に起因する異同を論理的に明らかにする。これらの成果は、学会報告や『社会科学』への投稿を行い、最終的には同志社大学人文科学研究所研究叢書として書籍出版を目指す。
活動報告第20期(2019~2021年度)

研究会研究課題・代表者・概要
第12研究京都のコミュニティに関する総合的研究
―都市における「つながり」の実証研究―
代表:奥田 以在(経済学部)
本研究会は、京都を主な研究対象として、都市内に存在する多様なコミュニティに着目し、経済史学、歴史学、社会学、人文地理学などの分野からコミュニティ内部の実証分析を行うものである。特に、地縁・職縁・文化・マイノリティといった結集原理によるコミュニティを対象とする。また、近代から現代に至るまでの長い期間を研究対象とすることで、時代を超えたコミュニティの実像に迫りたいと考えている。そして、多様な「つながり」のあり方を実証的に描き出すことで、京都という都市における「都市的な関係性」を出来うる限り明らかにしたいと考えている。
活動報告第20期(2019~2021年度)

研究会研究課題・代表者・概要
第13研究多元的なリスクをめぐる個と共同性に関する学際的研究
―移民・難民・災害避難民を軸に
代表:王 柳蘭(グローバル地域文化学部)
在日外国人や災害脆弱者を対象に日常に人々が抱えるリスクを把握し、そのうえでのセーフティネット構築の在り方を調べ、さらに、災害を視野にいれた非日常における自助・公助について、人類学・地域研究と防災学による学際研究をおこなう。その特徴は①これまで海外で調査してきた東南アジア研究等の知見をいかし、多様化する日本での東南アジアの移民の課題とニーズを引き出しいくこと、②防災リスクとの接続とその脆弱性(防災研究)―「災害への備え」をキーワードに、防災まちあるきや防災ワークショップなどの実施で外国人を地域住民に接合していく仕組みを一緒に住民と考える。こうした防災と地域研究の学際研究を外国人住民を含めた調査を行うことによって、多世代多文化を包摂した災害リスク対応型の持続可能な地域社会への提言とモデル化をおこなっていく。
活動報告第20期(2019~2021年度)

研究会研究課題・代表者・概要
第14研究京都の茶文化の学際的、国際的見地からの研究と、その地域活性化への還元に関する研究
代表:佐伯 順子(社会学部)
 京都の茶文化の歴史的伝統、社会的蓄積をふまえ、日本茶の文化に関する学際的、国際的、文理融合型、産学官連携の研究を行い、地域活性化や教育にも還元する。茶文化の国際化、映画や新聞、雑誌等のメディアのなかの茶文化、茶文化をめぐるコンテンツ・ツーリズムの研究等、人文社会科学系アプローチに加え、お点前のモーション・キャプチャーによる文理融合型研究も、煎茶道、茶の湯の専門家とともに推進する。「宇治茶の文化的景観を世界文化遺産に」の取り組み(京都府)、福寿園CHA遊学パーク、京都内外の茶文化関連施設、同志社大学京都と茶文化研究センターとも連携しながら、京都のみならず、広く「日本茶」文化の世界遺産登録の可能性につなげたい。
活動報告第20期(2019~2021年度)

研究会研究課題・代表者・概要
第15研究日本と英国の若者と政治
―政治行動・政治意識の比較と分析―
代表:Gill STEEL(国際教育インスティテュート)
 政治参加する日本の若者の数は今や高齢者よりも少なく、これまでの日本の数十年と比較した時、現在その若者の数はさらに少なくなっています。若者が政治参加しないことは、特に大きな問題であり、それは彼等の「政治に対する声」を制限し、政策決定に与える影響力を低下させてしまうからです。こういった状況の日本と比較すると、英国の若者の政治参加率は1990年代に減少したものの、現在は上昇傾向が見られます。私が本研究で取り上げたい疑問とは、なぜ日本の若者は政治参加しないのか、一方英国の若者は、なぜ再び政治参加をするようになったのかというものです。
 各研究員は、各地でのインタビュー結果を持ち寄り、メンバーで比較分析を行う。
活動報告第20期(2019~2021年度)

研究会研究課題・代表者・概要
第16研究経済制度と社会秩序の形成に関する理論実証分析
代表:上田 雅弘(商学部)
 本研究会は、経済制度や社会秩序が規範・慣習などとどのような関わりを持ちながら形成されるのか、またそれらがいかなる要因で変化していくのか、その生成や変容・崩壊の動的プロセスを解明することを目的としている。その分析手法は理論的、実証的なアプローチにとどまらず、歴史的、思想的な背景も含めた多面的な捉え方を試みる。とりわけ本研究においては、経済・社会を形成する個人の意思決定について、理論面では進化ゲームを用いた比較制度分析を用いて制度の生成や変容をモデル化する。また実証面では既存のデータによる統計的な分析に加え、調査票を用いた深層学習などの新たな分析手法を取り入れるとともに、実験的アプローチで人間行動の検証を行うことを念頭に置いている。
活動報告第20期(2019~2021年度)

研究会研究課題・代表者・概要
第17研究ポスト新自由主義時代におけるラテンアメリカの人権レジーム:
地域統合と各国での実践
代表:宇佐見 耕一(グローバル地域文化学部)
21世紀に入りグローバル化の一層の進展、国際的な市場競争の激化、また移民の増大等が社会的問題をもたらすとの反グローバル化言説が表面化している。ラテンアメリカ諸国では、1990年代の新自由主義改革を経て経済面においてグローバル化が進展し、域内外での移民も引き続き増大している。このような状況の下で、本研究ではラテンアメリカ諸国の低所得層、移民労働者、先住民、女性等の権利を擁護する制度として、社会権を含む国際的な人権レジームの域内各国での影響に注目する。同地域において各種の国際人権レジームは、米州レベル、共同市場レベルあるいは各国のレベルで法制化されて定着している。しかし、そうした諸法制度も必ずしも安定的なものではなく、反グローバル化言説と、それに影響を受けて政策も変容している。本研究においては、ラテンアメリカ域内における国際人権レジームを反映して制定された諸制度が域内諸国でどのように定着し、それが近年の反グローバル化言説からどの様な影響を受けているのか、また各国の低所得層、移民労働者、先住民、女性等社会的弱者の権利の保障にどの程度貢献しているのかを明らかにすることを目的とする。
活動報告第20期(2019~2021年度)